お盆に施設へ顔を見に行って、「また来週も来られるだろうか」「先月は結局2回しか行けなかった」と、帰り道で少し落ち込んだ経験はないでしょうか。入居前は「できるだけ頻繁に会いに行く」と決意していても、仕事や自分の家庭が動き出すと、面会の間隔はどうしても空いていきます。そのたびに「親不孝なのでは」という罪悪感が顔を出す、という声を編集部でもよく耳にします。

先に、要点をまとめます。

  • 面会の頻度に「正解」はなく、月1〜2回で落ち着く家庭が多いというのが実感に近い目安。毎週通うことがゴールではない
  • 「行けない罪悪感」は、面会の回数そのものより、行けなかった理由を自分の中で整理できていないことから強まりやすい
  • 直接会うことにこだわらず、電話・写真共有・オンライン面会など「会わない日の接点」を増やすと、罪悪感と頻度への焦りの両方が和らぐ

ただし、「頻度を増やせば安心できる」という考え方には、一つ見落としがちな注意点があります。これは記事の後半で説明します。

老人ホームの面会は、月に何回くらいが普通?

「これが平均」と言い切れる公的な統計はありませんが、月1〜2回、1回あたり30分〜1時間というペースで面会している家庭が多い、というのが介護の現場でよく語られる目安です。平日は仕事、休日は自分の家庭の用事という生活の中で、無理なく続けられる頻度に落ち着いていくケースが多いためです。

大切なのは、この「月1〜2回」という数字を目標にすることではありません。面会の頻度は、次のような要素で家庭ごとに大きく変わって当然だからです。

  • 施設までの距離(車で15分の距離と、新幹線が必要な距離では前提が違う)
  • 面会する家族の人数(一人で背負うか、兄弟姉妹で分担できるか)
  • 本人の状態(認知症の進行度合いによって、面会が本人にとって負担になる場合もある)
  • 施設側の面会ルール(予約制か自由面会か、時間帯の制限があるか)

「週1回行けている人がいるのに、自分は月1回しか行けていない」と他人と比べて落ち込む必要はありません。老人ホーム探しの段階で通いやすさを重視するかどうかも家庭によって違い、面会しやすい老人ホームの選び方で立地やルールを軸に施設を選んだ家庭もあれば、他の条件を優先して距離のある施設を選んだ家庭もあります。前提が違えば、無理なく続けられる頻度も変わってきます。

「行けない罪悪感」は、なぜ頻度を増やしても消えないことがある?

行けない罪悪感の正体は、多くの場合「回数の少なさ」そのものよりも、「行けなかった理由を自分の中で言葉にできていないこと」にあります。だからこそ、無理をして頻度だけを増やしても、根本的な安心にはつながりにくいのです。

たとえば、「今週は仕事の繁忙期で行けなかった」という事実があるとします。ここで「繁忙期だから仕方なかった」と自分の状況を認められればよいのですが、多くの人は代わりに「本当は行けたはずなのに」「親を後回しにしている」という漠然とした自己否定に流れてしまいます。行けなかった具体的な理由と、漠然とした罪悪感を切り離せていないと、次にどれだけ面会の回数を増やしても、また別の週に同じ罪悪感が顔を出します。

罪悪感と上手に付き合っている家族に共通するのは、次のような考え方です。

罪悪感が強まりやすい考え方距離を取れている考え方
「行けなかった=親を大切にしていない」「行けなかった理由」と「親を大切に思う気持ち」は別物
「毎週会いに行くのが正しい介護」「自分たちが無理なく続けられる頻度」が正しい介護
一人で抱え込み、誰にも状況を話さない兄弟姉妹や配偶者と、面会の分担や心境を共有する

もし「親が施設に入ったこと自体に罪悪感がある」という段階であれば、それは面会頻度とはまた別の悩みです。親が老人ホームを嫌がるときの話し方と頼れる相談先では、入居そのものへの向き合い方や相談先を整理しています。今の自分がどの段階の罪悪感と向き合っているのかを分けて考えると、対処の仕方も見えやすくなります。

直接会えない週、家族は何をすればいい?

直接の面会にこだわらず、電話・写真の共有・オンライン面会など「会わない日の接点」を用意しておくと、罪悪感と頻度への焦りの両方が和らぎます。面会は「行く/行かない」の二択ではなく、間にいくつもの選択肢があります。

コロナ禍をきっかけに、多くの施設でオンライン面会の体制が整いました。厚生労働省も感染対策の一環として、LINE・Skype・Zoomなどを使ったオンライン面会や、Wi-Fi環境の整備支援を全国の施設に呼びかけてきた経緯があります。現在は対面での面会が中心に戻っている施設が多いものの、遠方の家族や、体調がすぐれず訪問が難しい時期の選択肢として、オンライン面会や電話での様子確認に対応している施設は少なくありません。

会わない日にできることの例です。

  • 施設のスタッフに電話で最近の様子を聞く(体調・食事・表情の変化など)
  • 手紙や写真を送る(本人だけでなく、施設のスタッフとの会話のきっかけにもなる)
  • オンライン面会に対応しているか、施設に確認しておく
  • 兄弟姉妹がいる場合、誰がいつ面会に行ったかを共有し合う(LINEのグループなどで十分です)

とくに最後の「共有」は見落とされがちですが、効果が大きい工夫です。「自分が行けていない週も、きょうだいが顔を出してくれている」と分かるだけで、一人で背負っている感覚がかなり軽くなります。逆に、誰がいつ行ったか誰も把握していない状態は、全員が「自分だけ行けていないのでは」と同じ罪悪感を抱えやすくなります。

面会の頻度を増やせば、それだけで安心と言えるのか?

冒頭で触れた注意点は、ここです。面会の頻度を増やすことは、必ずしも本人の安心や満足に直結するとは限りません。回数を優先するあまり、一回一回の面会が慌ただしくなってしまっては、本末転倒になりかねないからです。

短時間でも顔を見て少し話す面会と、長時間でも義務感でこなす面会とでは、本人が受け取るものは変わってきます。介護の現場では、「回数より、会っているときにどれだけ穏やかに向き合えているか」を重視する考え方も語られます。仕事や家庭で疲れた状態のまま無理に予定を詰め込んで面会に行き、こちらの余裕のなさが本人に伝わってしまうくらいなら、次の週に落ち着いて行く方がよい、という判断もあり得ます。

面会の質を考えるうえでは、本人が施設でどう過ごしているかを知っておくことも役立ちます。趣味や日中の活動に本人らしく参加できているかは趣味を続けられる老人ホームの探し方でも扱っていますが、面会のときに「最近、何か楽しみにしていることはある?」と聞ける材料があると、会話にも自然な広がりが生まれます。義務のように近況を聞くだけの面会より、共通の話題がある面会の方が、短時間でも満足感は高くなりやすいものです。

面会の頻度や役割分担は、いつ・誰と話し合っておくべき?

理想的には入居前、遅くとも入居直後の落ち着いたタイミングで、家族間で面会の頻度や分担について一度話し合っておくことです。トラブルが起きてから急いで決めるより、事前に共通認識を持っておく方が、後々の負担感の偏りを防げます。

話し合っておきたい項目の例です。

  • 誰が、どのくらいの頻度で面会に行くか(曜日や週数で決めなくても、大まかな目安でよい)
  • 交通費や訪問にかかる時間的な負担を、どう分担するか
  • 面会以外の関わり方(電話・送金・書類対応など)で貢献できる人がいるか
  • 体調や状況が変わったとき、誰に一番早く連絡が入るようにするか

こうした役割分担の話し合いは、入居前の合意形成の一部として考えると進めやすくなります。入居前に家族で決めておくこと|老人ホーム選びの合意形成ガイドでは、施設選びの段階で家族が決めておきたい項目を整理していますので、面会の分担もその延長として話し合っておくと、入居後にあらためて気まずい調整をせずに済みます。

まだ話し合えていない場合でも、遅すぎるということはありません。次に集まる機会(お盆や年末年始など、家族が顔を合わせやすいタイミング)に、「うちはどのくらいのペースで面会に行けそうか」を軽く話題にしてみるだけでも、一人で抱えていた負担感が少し軽くなるはずです。

会わない日の接点を含めた面会リズムの整え方。直接の面会、電話での様子確認、写真や手紙の共有、家族間での分担共有という4つの接点が本人と家族をつなぐ関係を示した図

面会の頻度をめぐって、ありがちな失敗は?

よくある失敗は「入居時に決めた頻度を、状況が変わっても見直さないこと」と、「面会ルールを一度確認したきり、施設に聞き直さないこと」の2つです。どちらも、最初は問題なく回っていたのに、いつの間にか無理が生じるパターンです。

1つ目について。入居直後は「週1回は行こう」と決めていても、仕事の異動や自分の子どもの成長、体調の変化などで、生活は数か月〜1年単位で変わっていきます。最初に決めた頻度を「守れていない自分」を責め続けるのではなく、半年に一度くらいは「今の生活で無理なく続けられる頻度はどのくらいか」を家族で見直す機会を作ると、罪悪感が積み重なりにくくなります。

2つ目について。面会の時間帯・予約の要否・人数制限といったルールは、施設の状況(人員体制や感染症の流行状況など)によって時期ごとに変わることがあります。入居時に聞いた内容のまま数年経っている場合、実際には運用が緩和されていたり、逆に一時的に制限が強まっていたりすることもあります。「うちの施設はこうだったはず」と思い込まず、久しぶりに面会に行く前や、体調が心配な時期には、施設に現在のルールを確認しておくと、当日になって面会できないという事態を避けられます。

もう一つ、見落としがちなのが「面会に行けていない期間ほど、本人の変化に気づきにくくなる」という点です。お盆や年末年始のように久しぶりに顔を合わせたときに、体調や様子の変化に驚くことも少なくありません。久しぶりの面会で気づいた変化への向き合い方はお盆に帰省して気づく親の変化|『そろそろかも』と思ったら最初にすることでも扱っていますので、面会の頻度づくりとあわせて参考にしてください。

この記事で持ち帰れること

  • 面会頻度に「正解」はなく、自分たちの生活の中で無理なく続けられるペースを基準にしてよいと判断できるようになった
  • 「行けない罪悪感」は、行けなかった理由と、親を思う気持ちを切り離して考えることで軽くなりやすいと分かった
  • 直接会えない週も、電話・写真・オンライン面会・家族間の共有という接点を使えば、頻度への焦りを減らせると分かった

まずは今日、直近1か月にどのくらい施設に足を運べたか、あるいは電話や写真のやり取りをしたかを、ふと振り返ってみてください。「思っていたより関われていた」と気づけることも少なくありません。

これから施設を探す方、面会のしやすさを施設選びの条件に加えたい方は、介護しせつさーちの検索から都道府県・施設種別で候補を絞り込み、見学時に面会ルールを直接確認してみてください。


参考にした一次情報

  • 厚生労働省「高齢者施設等におけるオンラインでの面会の実施について」(令和2年5月15日付事務連絡、介護保険最新情報Vol.834)
  • 厚生労働省 高齢者施設における面会の取り組みに関する情報発信(新型コロナウイルス感染症関連)