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親が老人ホームを嫌がるときの話し方と頼れる相談先を表すイラスト家族

親が老人ホームを嫌がるときの話し方と頼れる相談先

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

親が老人ホームを嫌がるとき、説得ではなく対話で寄り添うための声かけの工夫と、家族だけでも無料で頼れる地域包括支援センターなどの公的相談先、そして施設探しで実際に確認したいことまでをやさしく整理します。

01なぜ親は老人ホームを嫌がるのか

「老人ホームの話を出すと、親が怒る・黙り込む・逃げてしまう」。これはとても多いご相談です。まず知っておきたいのは、嫌がる気持ちの裏には、たいてい「これまでの暮らしを失う不安」「家族に見捨てられるのではという恐れ」「自分のことは自分で決めたいという自尊心」があるということ。決してわがままでも頑固でもありません。

だからこそ、最初の一歩は「親を説得すること」ではなく「親の気持ちを否定しないこと」です。「もう一人では無理でしょう」「迷惑なのよ」といった言葉は、たとえ事実でも、本人の自尊心を直接傷つけてしまいます。

この前提が共有できると、その後の話し合いの空気が大きく変わります。施設探しの場面でも同じで、家族が先に「絶対ここ」と決めて連れて行くより、本人が「自分で選んだ」と感じられる進め方のほうが、入居後の納得感につながりやすいといわれます。まずは焦らず、親が何を不安に思っているのかを言葉にしてもらうところから始めましょう。

02やめたい伝え方/響きやすい伝え方

避けたいのは、結論を先に押しつける言い方です。「もう決めたから」「みんなそうしてる」「これがあなたのため」——正しさで迫るほど、親は心を閉じてしまいがちです。

代わりに意識したいのは、(1)本人を主語にする、(2)選択肢として渡す、(3)一度で決めようとしない、の3つです。たとえば「入ってほしい」ではなく「お父さんが安心して過ごせる場所を、一緒に探したい」。「ここにしよう」ではなく「いくつか候補があるんだけど、見てみるだけでもどう?」。決定を迫るのではなく、考える時間を一緒に持つ姿勢が伝わると、警戒がやわらぎます。

「施設に入れる=見捨てる」と責められたときは、言い負かそうとせず「そう感じさせてごめんね。見捨てるつもりは全然なくて、むしろ安心して会いに行ける形を探したいの」と、気持ちに先に応えるのがおすすめです。施設に頼ることへの罪悪感を自分の中でどう整理していくかも、あわせて考えておくと、話し合いのたびに揺らぎにくくなります。

施設探しの実務では、この対話で出てきた親の希望——「庭が見える部屋がいい」「料理が好き」「人付き合いは苦手」などを、見学や相談のときの確認ポイントとしてメモしておくと、後で施設を比べる軸になります。

03話を切り出すタイミングと進め方

話し合いは「一度で結論を出さない」ことが何より大切です。元気なうちから少しずつ、「将来どんなふうに暮らしたい?」と雑談の延長で触れておくと、いざというときに切り出しやすくなります。退院直後や体調が大きく変わった直後など、本人が不安定なタイミングでの本格的な説得は避けたほうが無難です。

進め方のコツは、大きな決断をいきなり迫らず、小さな選択肢から始めること。「入居」ではなく「見学だけ」「短期間だけ試してみる」など、ハードルの低い一歩を提案すると受け入れやすくなります。短期間お試しで過ごせる仕組みの有無や条件は施設によって異なるため、利用できるかは各施設へ確認しましょう。

そして、家族だけで抱え込まないこと。ケアマネジャーや医師など、親が信頼している第三者から話してもらうと、すんなり受け入れられることは少なくありません。施設を見学する際は、本人の希望に沿っているか、職員の対応や雰囲気はどうかを、できれば本人と一緒に確かめると、納得して進めやすくなります。

04認知症が背景にあるとき

「病気だと認めない」「受診も施設も頑なに拒む」——その背景に認知症がある場合、本人を理屈で説得し続けるのは、家族にとっても消耗が大きいものです。

こうしたとき活用できるのが、認知症初期集中支援チームです。厚生労働省の資料によると、認知症が疑われる人や認知症の人とその家族に医療・介護の専門職が関わり、自宅などを訪問して困りごとを確認したうえで、適切な医療や介護サービスの利用につなげる初期支援を、おおむね最長6か月をめどに集中的に行う仕組みとされています。期間後は地域包括支援センター等へ引き継がれます。受診をかたくなに拒む人へ、まず信頼関係を築いてから医療につなぐといった対応も想定されており、家族からの相談が入口になります。

チームは地域包括支援センター等に配置されていることが多く、相談窓口は地域包括支援センターが担うとされています。まずは後述の地域包括支援センターに連絡するのが入口になります。

施設探しの観点では、認知症の進み具合によって向いている住まいの種類や、必要な見守り・医療の体制が変わります。認知症が進んだ段階での施設選びのポイントも参考にしながら、どの程度の対応が必要かは自己判断せず、専門職に相談しつつ、見学時に「夜間の体制」「認知症の方の受け入れ実績」などを確認していくとよいでしょう。

05家族だけでも頼れる相談先

「親が拒否していて話が進まない」「何から手をつければいいか分からない」——そんなときの最初の相談先が、地域包括支援センターです。地域包括支援センターがどんな窓口かを詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

厚生労働省の資料によると、地域包括支援センターは介護保険法第115条の46に基づいて市町村が設置主体となる高齢者の総合相談窓口で、保健師等・社会福祉士・主任介護支援専門員などが配置され、(1)総合相談支援(2)権利擁護(3)介護予防ケアマネジメント(4)包括的・継続的ケアマネジメント支援の4つの業務を担うとされています。同資料では、令和6年4月時点で全国に5,451か所(ブランチ・サブセンターを含めると7,362か所)とされていますが、設置数は年度により更新されるため、最新の数値は要確認です。

相談は無料で、内容がまとまっていない段階でも、また本人が同席していなくても家族だけで相談できます。利用先は原則として対象となる高齢者が住む地域の担当センターになるため、どこが担当かは、お住まいの市区町村の介護保険窓口や自治体ホームページで確認してください。

ここで現状を整理してもらうと、「今すぐ施設なのか」「在宅サービスで支えられるのか」を含めて、次に進むべき方向が見えてきます。施設探しを本格化する前に、まず一度相談しておくと回り道を防げます。

06施設探しで家族が確認したいこと

話し合いと相談が進み、いざ施設を比べる段階になったら、家族として最低限おさえたいポイントがあります。何から手をつければよいか迷う場合は施設探しの始め方から確認すると、全体の流れをつかみやすくなります。

まず種類の違いです。老人ホーム・介護施設にはいくつかの種類があり、入居の要件や受けられるサービスが異なります。たとえば特別養護老人ホーム(特養)は、平成27年4月1日以降、入所が原則として要介護3以上の方に限定されています。ただし、認知症により日常生活に支障をきたす症状・行動などが頻繁に見られる場合など、居宅での生活が困難なやむを得ない事由があるときは、要介護1・2でも特例入所が認められることがあり、その判断には市町村が関与するとされています。具体的な運用は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村へ確認してください。

次に費用です。月額利用料や一時金は施設や地域によって大きく異なり、相場を一律に断定することはできません。必ず各施設の最新の料金表や重要事項説明書、自治体の窓口で最新情報を確認してください。

そして医療的ケアです。喀痰吸引(たんの吸引)や経管栄養(胃ろう等)といった医療的ケアへの対応可否は、その施設の看護体制や、研修を修了した職員の配置などによって異なります。「施設なら必ず対応できる」とは限らないため、必要なケアがある場合は、見学・相談時に対応可能かを一つずつ確認しましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

まずはお住まいの地域の地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。介護保険法に基づく高齢者の総合相談窓口で、相談は無料、本人が同席していなくても家族だけで相談できます。今すぐ施設が必要か、在宅サービスで支えられるかを含めて、次の一歩を一緒に整理してもらえます。担当センターはお住まいの市区町村の窓口や自治体ホームページで確認してください。

A.

あります。認知症初期集中支援チームは、認知症が疑われる人やその家族に医療・介護の専門職が関わり、自宅などを訪問して、おおむね最長6か月をめどに、適切な医療・介護サービスの利用につなげる初期支援を行う仕組みとされています。受診を拒む方へ信頼関係を築いてからつなぐ対応も想定されており、家族からの相談が入口になります。多くは地域包括支援センター等に配置され、相談窓口も地域包括支援センターが担うとされているため、まずはそちらに連絡するとよいでしょう。

A.

言い負かそうとせず、まず気持ちに応えるのがおすすめです。「そう感じさせてごめんね。見捨てるつもりは全然なくて、むしろ安心して会いに行ける形を探したいの」のように、本人を主語にして不安に寄り添う言葉が届きやすいといわれます。結論を一度で迫らず、見学だけ・お試しだけといった小さな一歩から提案し、ケアマネジャーなど信頼できる第三者の力も借りると、対話が進みやすくなります。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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