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親の認知症が進んだときの施設選びを表すイラスト家族

親の認知症が進んだときの施設選び

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

親の認知症が進み在宅介護が難しくなったとき、どの住まいを選ぶか。グループホームや特養など選択肢の違い、医療的ケアや夜間体制など施設探しで必ず確認したい点を、家族の視点でやさしく整理します。

01まず立ち止まって、いまの状態を整理する

認知症が進むと、目が離せない、夜眠ってくれない、薬の管理が難しいなど、家族の負担が一気に重くなります。「もう施設しかない」と急ぐ前に、一度立ち止まって整理することをおすすめします。

2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」は、認知症の人と家族等の視点を大切にすることをうたっています。つまり、施設選びも「家族が楽になるため」だけでなく「本人が本人らしく暮らせる場所か」という両方の目線が大切です。

施設探しを始める前に、次の3点を書き出してみてください。(1)本人の状態(要介護度、認知症の診断名、できること・困っていること)、(2)家族が抱えている負担(介護できる時間、同居か遠方か、夜間対応の限界)、(3)在宅でサービスを足せば続けられそうか、住まいを移したほうがよいか。

この整理ができていると、見学や相談のときに「うちの場合は何を確認すべきか」がはっきりします。判断に迷う段階でも、後述の地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談して大丈夫です。施設へ移すか在宅を続けるかの線引きは、本人の状態と家族の体力の両面から、専門職と一緒に考えていきましょう。

02認知症の「困りごと」とBPSDという考え方

認知症には、記憶障害や見当識障害といった脳の機能低下による「中核症状」と、不安や混乱、徘徊、興奮、不眠などの「行動・心理症状(BPSD/周辺症状)」があります。BPSDは、本人の性格だけでなく、環境や周囲のかかわり方によって現れたり和らいだりするといわれます。

大切なのは、これらは「困った行動」ではなく「本人が困っているサイン」として捉える視点です。厚生労働省の資料でも、BPSDへの対応は薬に頼る前に、まず環境やかかわり方を見直す非薬物的な対応を基本とする考え方が示されています。なお、症状の現れ方や進行は人それぞれで、特定のケアや商品で「治る」「改善する」と断定できるものではありません。

施設探しの場面では、この視点が確認ポイントになります。見学時に「夜眠れないときどう対応していますか」「歩き回りたい方への工夫はありますか」「落ち着かないときにすぐ薬で抑えるのか、まず関わり方を変えるのか」を具体的に聞いてみてください。スタッフが本人の気持ちに沿った対応を語れるかどうかは、その施設が認知症ケアにどれだけ向き合っているかを映します。本人の不安が和らぐ環境かどうかを、家族の目で確かめましょう。

03認知症の人が暮らせる主な住まいの選択肢

認知症の人を受け入れる住まいにはいくつか種類があり、役割が異なります。

まず「認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」。1ユニット5〜9人の少人数で、個室を持ちながら居間や食堂で共同生活を送ります。1事業所あたりのユニット数は制度上のきまりがあり(2021年度の改定以降は原則3ユニット以下とされています)、実際の定員は施設ごとに異なります。地域密着型サービスのため、原則としてその地域に住む人が対象で、お住まいの市区町村以外の施設を希望する場合は利用できる条件が限られます。定員・利用要件(要介護度や認知症診断など)は施設・自治体で異なるため、必ず最新情報を確認してください。

「特別養護老人ホーム(特養)」は、2015年4月から原則要介護3以上が対象です。ただし、認知症で在宅生活が困難など一定の事由がある場合、要介護1・2でも特例入所が認められることがあります。介護全般や看取りにも対応するとされますが、空きが少ない地域もあります。

このほか、有料老人ホーム(老人福祉法)やサービス付き高齢者向け住宅(高齢者住まい法)など、認知症の受け入れ可否が施設ごとに異なる住まいもあります。

施設探しでは「認知症の進行度でも受け入れ可能か」「対象となる要介護度・地域要件・定員」を、施設詳細や自治体の最新情報で一つずつ確認することが出発点になります。

04施設選びで必ず確認したいチェックポイント

認知症が進んだ親の住まいでは、パンフレットの印象だけで決めず、次の点を見学・問い合わせで具体的に確かめてください。施設個別の料金や空室、対応可否は変わりうるので、必ず最新情報で確認します。

・夜間の体制:夜は何人のスタッフが何人の入居者を見るのか。夜間に容体が変わったときの連絡・対応の流れ。 ・医療との連携:協力医療機関はどこか、通院の付き添いはあるか、急変時にどう動くか。 ・認知症ケアの実際:BPSDが出たときの対応方針、本人のペースを尊重した生活ができるか。 ・退去要件:どんな状態になると退去を求められるか。医療依存度が高まったとき住み続けられるか。 ・地域・入居要件:地域密着型サービスは地域要件があるため、住民票や対象要件を自治体に確認。 ・費用:月額・初期費用・追加費用は施設の最新の料金表と重要事項説明書で確認。介護保険の負担割合や負担限度額認定の対象になるかも自治体に確認。

これらは「本人が安心して暮らし続けられるか」を見極める質問です。曖昧な答えしか返ってこない項目は、契約前に書面で確認しておくと安心です。

05胃ろう・たんの吸引など医療的ケアが必要になったら

認知症が進むと、食事がうまくとれずに経管栄養(胃ろうなど)が必要になったり、たんの吸引が要ることがあります。ここで大切なのは、たんの吸引や経管栄養は「医行為」であり、「施設なら必ず対応してもらえる」とは限らないという点です。

平成24年(2012年)4月から、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、一定の研修を修了した介護職員等が、医療・看護との連携など一定の条件のもとで、これらの行為を実施できるようになりました。実施には、喀痰吸引等研修の修了、都道府県知事による認定(認定特定行為業務従事者認定証)、事業者の登録(登録特定行為事業者などの登録)が必要で、研修で修了した行為のみが対象です。

つまり、どの行為に対応できるかは施設・職員の体制によって異なります。施設探しでは「たんの吸引に対応できるか」「夜間も対応可能か」「看護師が常駐・オンコールか」を、その施設に直接、具体的な処置名を挙げて確認してください。将来、医療依存度が高まったときに住み続けられるかも合わせて聞いておくと、転居を繰り返さずにすみます。最新の対応状況は必ず施設へ要確認です。

06相談先と申し込みの進め方

認知症が進んだ親の施設選びは、家族だけで抱え込まないことが何より大切です。まず頼れるのが、お住まいの地域の「地域包括支援センター」と、担当の「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。本人の状態に合った住まいの候補や、申し込みの段取りを一緒に考えてくれます。費用負担の軽減制度(介護保険の負担割合や負担限度額認定など)の対象になるかは、自治体の窓口で確認できます。

進め方の目安は次のとおりです。(1)地域包括支援センター・ケアマネに相談し、候補となる住まいの種類をしぼる。(2)気になる施設に問い合わせ、対象要件・空室・費用の最新情報を確認する。(3)複数施設を見学し、夜間体制・医療連携・認知症ケア・退去要件を比較する。(4)重要事項説明書と契約内容を確認してから申し込む。

見学では、本人を連れて行けるなら表情も観察しましょう。可能なら短期間の体験入居や、本人の意向をできる範囲で聞く機会も大切です。決めきれないときは持ち帰って家族で話し合い、専門職に相談して構いません。焦らず、本人らしく過ごせる場所を一緒に探していきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

必ずしもそうではありません。在宅でも、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどを組み合わせて生活を続けられる場合があります。まずは地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに相談し、本人の状態と家族の負担の両面から、在宅を続けるか住まいを移すかを一緒に検討するとよいでしょう。判断に迷う段階で相談して構いません。

A.

あります。認知症グループホームは要介護度が比較的軽い段階から検討できる場合があり、特別養護老人ホームは原則要介護3以上ですが、認知症で在宅生活が困難など一定の事由があれば要介護1・2でも特例入所が認められることがあります。対象となる要件は施設・自治体で異なるため、最新の条件を必ず確認してください。

A.

施設なら必ず対応できるとは限りません。たんの吸引や経管栄養は医行為で、一定の研修を修了し認定を受けた介護職員等が、看護との連携など条件のもとで実施できる仕組みです。対応できる行為や夜間の体制は施設ごとに異なるため、希望する処置名を挙げて、その施設に直接、最新の対応状況を確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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