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兄弟姉妹で施設探しを進める方法を表すイラスト家族

兄弟姉妹で施設探しを進める方法

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

親の施設探しを兄弟姉妹で進めるときの合意形成のコツを、寄り添う視点で解説。家族会議の始め方、役割分担、中立の相談窓口、費用・契約の論点、意見が割れたときの頼り先まで、確認すべきことを整理します。

01まず親本人の希望と状況を全員で共有する——家族会議の最初の一歩

施設探しが兄弟姉妹でこじれる多くは、「何を目指すか」の前提がそろっていないことが原因です。最初にすべきは施設を比べることではなく、親本人の希望と、いまの状況を全員で同じ言葉で共有することです。

家族会議で持ち寄りたいのは次の4点です。

  • 本人の希望:どこで、誰と、どう暮らしたいか。住み慣れた地域か、子の近くか
  • 健康・介護の状況:要介護度、認知症の有無、医療的なケアの必要性
  • 経済状況:本人の年金・預貯金、毎月どこまで負担できるか
  • 譲れない条件と、妥協できる条件の切り分け

ここで大切なのは、誰かの「こうあるべき」ではなく本人の声を起点にすることです。本人が同席できるなら、遠慮なく話せる雰囲気をつくります。

そのうえで施設探しに入ると、確認すべき軸が見えてきます。たとえば医療的なケアが必要なら「看護体制」、認知症が進んでいるなら「対応できる施設の種類」を最初の絞り込み条件にできます。まだ何から手をつければよいか迷う場合は、相談窓口や要介護認定など最初の一歩を整理したガイドもあわせて確認しておくと、この段階で足並みがそろいやすくなります。費用については、施設ごとの料金は重要事項説明書や最新の料金表で必ず確認する前提を、この段階で兄弟姉妹で共有しておくと、後の比較がぶれません。

02きょうだいの役割を「お金・手続き・直接ケア・付き添い」で分担する

全員が同じ動きをすると、負担が偏ったり連絡が行き違ったりします。役割を分けると、得意なことや住んでいる場所に応じて協力しやすくなります。一例として、次の4つに分ける考え方があります。

  • お金まわり:費用の試算、口座の管理、料金表の比較
  • 情報・手続き:施設の情報収集、見学の予約、申込書類の準備
  • 直接ケア・近くの対応:近くに住む人が日常の様子を見る、急な連絡を受ける
  • 付き添い・面会:通院や見学の付き添い、定期的な面会

遠方に住んでいて見学に行けなくても、担える役割はあります。施設情報を集めて候補を整理する、費用を試算する、書類の下書きをつくる、といった手を動かす担当は距離に関係なく引き受けられます。現地に行かずに候補を比較する具体的な手順を知っておくと、遠方の担当者でも見学組と同じ目線で判断しやすくなります。

役割を決めたら、確認した内容を全員が見られる場所(共有メモやチャット)に残しておくと、同じ説明を繰り返さずに済みます。施設を見学した人は「確認すべきこと」をメモのフォーマットにしておくと、誰が行っても同じ目線で比較できます。たとえば、看護師の配置時間、夜間の医療対応、月額に含まれる費用と別途かかる費用の線引きは、見学の場で必ず聞き取りたい項目です。

03中立の相談相手を持つ——地域包括支援センターとケアマネジャー

兄弟姉妹だけで抱えると、感情が先に立って話が前に進まないことがあります。中立の専門家を間に入れると、判断の拠りどころができます。

地域包括支援センターは市町村が設置主体となる公的な総合相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などが配置され、3職種のチームで支援にあたります(出典:厚生労働省)。介護にまだ詳しくない家族が、何から始めればよいかを最初に相談できる場所です。親の住む地域のセンターが窓口になります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、本人や家族の希望もふまえてケアプランを作成し、施設やサービス事業者との連絡調整を行う専門職です(出典:厚生労働省)。すでにケアマネジャーがついていれば、施設探しの相談相手になりえます。

兄弟姉妹で意見が割れているときこそ、こうした第三者から全員で同じ説明を受けると、認識のずれが整理されます。相談の前に、前章で共有した「本人の希望・状況・予算」をまとめておくと話が早く進みます。なお、居宅介護支援の利用者負担や具体的な手続きは制度や状況によって異なるため、お住まいの自治体やセンターで最新の内容を確認してください。

04同じ情報を見て検討する——情報公表システムと見学の確認ポイント

兄弟姉妹がそれぞれ別の情報を見ていると、議論がかみ合いません。全員が同じ中立の情報源を見て検討するのが近道です。

介護サービス情報公表システムは厚生労働省が運営し、介護保険法に基づいて都道府県が情報を公表する仕組みです。所在地・運営方針・営業時間・利用料・従業者の状況・空き人数などを検索・比較できます(出典:介護サービス情報公表システム)。遠方の兄弟姉妹も同じ画面を見ながら相談でき、複数施設を並べて比べられるのが利点です。

そのうえで、候補を絞ったら見学で確かめます。見学で兄弟姉妹が手分けして確認したい主なポイントは次の通りです。

  • 費用:月額に含まれるもの/別途かかるもの。最新の料金は重要事項説明書で確認
  • 医療・看護体制:看護師の配置時間、夜間や急変時の対応、協力医療機関
  • 対応できるケアの範囲:必要な医療的ケアに対応できるか(施設ごとに体制が異なります)
  • 暮らしの様子:食事、入浴の頻度、居室のタイプ、スタッフの雰囲気

なお、口コミや写真は参考程度にとどめ、料金・空き状況・対応可否といった確実に知りたい情報は施設に直接確認するのが安心です。同じ確認項目のリストを全員で使うと、誰が見学しても比較がそろいます。

05費用と契約でつまずかないために——成年後見・扶養請求・介護休業

施設探しは、お金と契約の論点で止まりがちです。あらかじめ選択肢を知っておくと、兄弟姉妹で落ち着いて話せます。

親が認知症などで判断が難しい場合:施設の入所契約は本人の意思に関わる行為です。判断能力が十分でないときは、成年後見制度の検討が必要になることがあります。法定後見には後見・保佐・補助の3類型があり、家庭裁判所が後見人等を選任します。身上保護には施設入所・入院の契約締結も含まれます(出典:厚生労働省 成年後見はやわかり)。「兄弟姉妹だから当然に契約を代われる」わけではない点に注意が必要です。

費用負担の話し合いがまとまらない場合:直系血族および兄弟姉妹は相互に扶養義務があり、話し合いがつかないときは家庭裁判所に扶養請求の調停を申し立てられます。扶養の順序の指定の申立ても可能で、調停が不成立なら原則として自動的に審判手続が開始されます(出典:裁判所 扶養請求調停)。これは最終手段で、まずは話し合いが基本です。

仕事と両立したい場合介護休業は対象家族1人につき3回・通算93日まで取得できます。対象家族には父母や兄弟姉妹などが含まれ、原則として開始予定日の2週間前までに事業主へ申し出ます(出典:厚生労働省)。短時間の用事には、対象家族1人で年5日・2人以上で年10日まで取れる介護休暇も使えます(出典:厚生労働省)。施設探しや見学の付き添いを、兄弟姉妹で分担する助けになります。なお、取得要件や手続きの詳細は勤務先や制度改正によって変わることがあるため、勤務先・最新の制度内容を確認してください。

06意見が割れたときのために——進め方と外部の頼り先

兄弟姉妹の間では、過去の関係や「自分ばかり負担している」という思いが、施設探しの議論に重なって出てきがちです。意見が割れたときに立ち戻りたいのは、判断の主語を「本人」に戻すことです。「自分はこうしたい」ではなく「本人にとってどうか」に話を引き戻すと、対立がほぐれやすくなります。

進め方の工夫として、次のような点が役立ちます。

  • 決めることを小さく分ける:施設の種類→エリア→候補の順に、一度に全部を決めない
  • 事実と感情を分ける:費用や体制などの事実は資料で確認し、不安や思いは別に受け止める
  • 記録を残す:決まったこと・保留にしたことを共有メモに残し、後から蒸し返さない

施設の種類やエリアが決まってきたら、費用の負担割合や身元保証・契約時の確認役を誰が担うかなど、入居前に家族で決めておきたいことをまとめたガイドに沿って一つずつ確認していくと、土壇場での意見の食い違いを減らせます。

それでも兄弟姉妹だけで進まないときは、外部の頼り先に間に入ってもらいます。介護の進め方そのものは地域包括支援センターやケアマネジャーに、費用負担や契約・後見など法的な論点は家庭裁判所の手続きや専門家に、と相談先を分けて考えると整理しやすくなります。

どの段階でも、費用や制度の具体的な内容は時期や自治体によって変わります。最新の情報は、施設の重要事項説明書、自治体の窓口、それぞれの公的な相談先で確認しながら進めてください。焦らず、本人の希望を真ん中に置いて一歩ずつ進めることが、結果として兄弟姉妹みんなの納得につながります。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

距離に関係なく担える役割があります。介護サービス情報公表システムなどで施設情報を集めて候補を整理する、費用を試算する、申込書類の下書きを準備する、見学に行く人へ確認項目のリストを渡す、といった「手を動かす担当」を引き受けられます。決めたことや確認した内容を全員が見られる共有メモに残しておくと、離れていても協力しやすくなります。

A.

まずは本人の年金・預貯金で賄える範囲と、不足分を整理することから始めます。直系血族および兄弟姉妹には相互に扶養義務があり、話し合いがどうしてもまとまらない場合は、家庭裁判所に扶養請求の調停を申し立てることができます。扶養の順序の指定の申立ても可能で、調停が不成立なら原則として自動的に審判手続が開始されます。ただしこれは最終手段で、まずは話し合いが基本です。

A.

施設の入所契約は本人の意思に関わる行為のため、判断能力が十分でない場合は成年後見制度の検討が必要になることがあります。法定後見には後見・保佐・補助の3類型があり、家庭裁判所が後見人等を選任します。身上保護には施設入所・入院の契約締結も含まれます。「兄弟姉妹だから当然に代われる」わけではないため、早めに地域包括支援センターや専門家に相談し、自治体や裁判所で最新の手続きを確認してください。

A.

喀痰吸引や経管栄養は医行為に該当し、医師・看護師等のほかは、所定の研修を修了して都道府県から認定証の交付を受けた介護職員が、登録された事業者で行う場合などに限られます。そのため「施設なら必ず対応できる」とは限りません。施設ごとに、看護師の配置時間、夜間や急変時の対応、研修修了者の有無、協力医療機関を直接確認してください。必要な医療的ケアに対応できるかは、見学や問い合わせで施設に要確認です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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