メインコンテンツにスキップ
介護しせつさーち
介護施設への罪悪感を整理する考え方を表すイラスト家族

介護施設への罪悪感を整理する考え方

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

親や配偶者を施設に、と考えると湧く罪悪感。その気持ちを否定せず、介護保険が「家族だけでは支えきれない」前提で社会が用意した仕組みである事実から整理し直し、相談先と施設選びで確認する点までやさしくまとめます。

01「罪悪感」を抱くのは、あなたが真剣だから

「親(配偶者)を施設に入れるなんて、見捨てるみたいで申し訳ない」——その気持ちは、決しておかしなものではありません。日本では長く、家族が高齢の親を看るのが当たり前とされてきました。だからこそ、その役割を手放すように感じて、後ろめたさが湧くのは自然なことです。

まず知っておきたいのは、罪悪感は「あなたが本人を大切に思っている証」だということです。どうでもいい相手になら、悩みも生まれません。つらいのは、あなたが真剣に向き合ってきたからこそです。

この記事は、その気持ちを「責任放棄」ではなく「制度が用意した選択肢の活用」として整理し直すためのものです。感情を無理に消そうとするのではなく、事実を知って少し肩の力を抜く。そのうえで施設探しに向き合えると、後悔の少ない選択につながります。

施設探しの実務面では、まず「本人が大切にしてきた暮らし」を書き出しておくと役立ちます。見学のとき、その暮らしを続けられそうかという視点で施設を見られるようになり、「施設に預ける」ではなく「本人に合う住まいを選ぶ」という気持ちに変わっていきます。何から手をつければよいか迷うときは、まず相談と要介護認定から始める探し方も参考にしてください。

02介護保険は「家族だけでは支えきれない」前提でできている

少し制度の話をします。介護保険制度は、厚生労働省の資料によれば、高齢化で介護ニーズが増える一方、核家族化の進行や介護する家族自身の高齢化など「要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況」が変化し、従来の老人福祉・老人医療制度では対応に限界が来たことを背景に創設されました(1997年に介護保険法が成立、2000年に施行)。つまり「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」として始まったのです。

ここが大切な点です。施設サービス(特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設、介護老人保健施設 等)は、在宅サービス・地域密着型サービスと並ぶ制度上の正規の給付です。制度の基本理念のひとつは「利用者本位(利用者の選択により多様な主体からサービスを総合的に受けられる)」とされており、施設を選ぶことは、家族の手抜きではなく、社会が用意した選択肢を使うことにほかなりません。

だから「施設=罪」ではありません。むしろ制度は、家族が抱え込まずに済むよう設計されています。

施設探しでは、検討先がどの制度区分の施設なのか(介護保険の施設サービスか、有料老人ホームか等)を最初に確認しましょう。種別によって費用の仕組みや入居条件が異なります。費用や入居条件は施設・時期で変わるため、最新情報は各施設の重要事項説明書と料金表、自治体の窓口で必ず確認してください。

03あなたが限界なのは「甘え」ではありません

「もっと頑張れるはず」と自分を責めてしまう方へ。負担の実態を、数字で見てみましょう。

厚生労働省の2022(令和4)年 国民生活基礎調査によると、同居して介護する主な介護者は女性が68.9%、男性が31.1%で、介護の負担は女性に偏っています。続柄では配偶者22.9%、子16.2%、子の配偶者5.4%と、家族が中心を担っています。さらに、要介護者等と同居して介護する人の年齢の組合せは「60歳以上同士」が77.1%、「65歳以上同士」が63.5%、「75歳以上同士」も35.7%にのぼります(いわゆる老老介護)。

つまり、高齢の方が高齢の家族を看ているのが、もはや珍しくない現実です。また、介護が必要になった主な原因(要支援・要介護を合わせた総数)は認知症16.6%が最も多く、次いで脳血管疾患(脳卒中)16.1%、骨折・転倒13.9%でした。認知症のケアを家族だけで24時間担い続けるのは、誰にとっても簡単ではありません。

「限界を感じる」のは、あなたが弱いからではなく、家族介護そのものに無理がかかりやすい構造があるからです。もし心身の疲れをすでに強く感じているなら、介護疲れを覚えたときの相談先や休み方も参考にしてください。施設探しでは、本人の状態(認知症の進み方、夜間の見守り、転倒のリスクなど)を整理し、その状態にその施設がどう対応できるかを、見学時に具体的に確認しましょう。

04罪悪感を整理する4つの考え方

気持ちの整理に役立つ視点を、いくつか挙げます。断定ではなく、考えるためのヒントとして受け取ってください。

  • 役割が「変わる」だけで、関係は終わらない。 介護の実務を専門職に委ねても、面会したり、好きだった食べ物を差し入れたり、思い出を話したりという家族の関わりは続きます。むしろ介護で疲れ切った関係より、穏やかに向き合える時間が増えることもあります。
  • 専門のケア体制が、本人の安心につながりうる。 夜間の見守りや看護職の配置など、家族だけでは用意しにくい体制があります(体制は施設ごとに異なるため要確認)。
  • あなた自身の生活を守ることも、立派な介護です。 介護する人が倒れてしまっては、本人も困ります。共倒れを防ぐことは責任放棄ではありません。
  • 「本人ならどう望むか」を想像する。 本人が、あなたが疲弊することを望んでいるとは限りません。

こうした視点を持って施設を見学すると、「預ける罪悪感」よりも「本人に合う暮らしを一緒に探す」という気持ちで臨めます。見学では、本人の人柄や習慣を職員に伝えられるか、家族が関わり続けられる仕組み(面会・連絡・行事参加)があるかも確認しておきましょう。

05一人で抱えず、まず相談先を持つ

罪悪感がつらいとき、一人で抱え込まないことが何より大切です。身近な相談先として、地域包括支援センターがあります。

地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、総合相談・権利擁護・地域の支援体制づくり・介護予防の援助などを担う中核機関です。保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員といった専門職が配置されており、本人だけでなく家族も相談できます。「まだ要介護認定を受けていないのだけれど」という段階でも構いません。費用や利用の詳しい条件はお住まいの自治体で異なる場合があるため、最新情報は自治体の公式ページで確認してください。

すでにケアマネジャー(介護支援専門員)がついている場合は、在宅介護の限界や施設移行の不安を率直に相談してみましょう。ケアマネジャーに相談する際は、事前に伝えることや持ち物を整理しておくと、限られた時間で的確なアドバイスをもらいやすくなります。

相談に行く前に、次を整理しておくと話がスムーズです。

  • 本人の現在の状態(要介護度、認知症の有無、医療的な対応の要否)
  • 家族側の事情(介護できる時間、健康状態、住まいの距離)
  • 何に一番困っているか、何を大切にしたいか

このメモは、そのまま施設探しの条件整理にも使えます。罪悪感を言葉にして専門職に話すこと自体が、整理の第一歩になります。

06後悔を残さない施設探しのために確認すること

「ちゃんと選んだ」と思えると、罪悪感はやわらぎます。逆に、よく分からないまま決めると後悔が残りやすいものです。施設探しで確認しておきたい点を整理します。

  • ケア体制が本人の状態に合うか。 認知症対応、夜間の見守り、看護職の配置、状態が進んだときに住み続けられるかを、施設ごとに具体的に質問します。医療的な対応(喀痰吸引や経管栄養など)は、研修を修了した職員や看護体制の有無によって対応できる範囲が施設ごとに異なります。「施設なら必ず対応できる」とは限らないため、本人に必要な対応を伝えて個別に確認してください。
  • 費用の総額と内訳。 月額表示だけでなく、介護サービス費・食費・居住費・日用品費などを含めた総額で比べます。費用は施設・時期で変わるため、最新の金額は重要事項説明書と料金表で確認します。
  • 家族が関わり続けられるか。 面会のしやすさ、連絡体制、行事への参加など、入居後も関係を保てる仕組みを見ておきます。
  • 本人の意向。 可能な範囲で本人の希望を聞き、見学にも一緒に行けると納得感が高まります。

複数の施設を同じ項目で見比べ、見学して納得して選ぶ——その積み重ねが、「自分たちにできることはした」という実感につながります。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

いいえ。厚生労働省の資料によれば、介護保険制度はもともと核家族化や介護する家族の高齢化を背景に「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」として創設され、施設サービスは在宅サービスと並ぶ制度上の正規の選択肢です。施設に移っても、面会や日々の関わりといった家族のつながりがなくなるわけではありません。役割が変わるだけと考えると整理しやすくなります。

A.

明確な基準を一律に示すことはできません。判断は本人の状態(要介護度、認知症の進み方、医療的な対応の要否)と家族側の事情(介護できる時間、健康、住まいの距離)の両方で変わります。なお国の調査では、同居して介護する人の年齢の組合せは「60歳以上同士」が77.1%にのぼり、老老介護が珍しくない現実があります。迷うときは、地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談してください。

A.

市町村が設置する地域包括支援センターが身近な相談先です。保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などの専門職が配置され、本人だけでなく家族も相談できます。要介護認定を受ける前の段階でも構いません。利用の詳しい条件は自治体で異なる場合があるため、最新情報はお住まいの自治体の公式ページで確認してください。すでにケアマネジャーがいる場合は、その方にも率直に相談しましょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

Related

あわせて読みたいガイド

探し方

老人ホーム探しの始め方|まず相談と要介護認定から

老人ホーム探しは施設を直接探す前に、地域包括支援センターへの相談と要介護認定の申請から。公的窓口の使い方、認定の流れ、施設種別の見方、契約前に確認することまで、最初の一歩をやさしく解説します。

家族

介護疲れを感じたときの相談先と休む方法

介護に疲れたとき、まず頼れるのは無料の地域包括支援センターや市区町村の窓口、担当ケアマネジャー。一時的に休めるショートステイ、仕事と両立する介護休業・休暇、認知症の電話相談まで、最初の一歩と施設探しで確認したいことをまとめます。

探し方

ケアマネジャーに相談するときの準備|伝えること・相談先・持ち物

ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談する前に整理しておきたい5つのことと、相談先の見つけ方、施設探しの相談で伝えると話が早い情報をやさしく解説。費用や制度の最新情報は公式・自治体での確認先も紹介します。

家族

施設選びで「本人らしさ」を残す——尊厳の保持から考える

親や配偶者が施設に移っても「その人らしい暮らし」を続けてほしい。介護保険法が掲げる尊厳の保持を出発点に、ケアプランへの本人の意向の反映、ユニットケアやグループホームといった暮らしの形、見学で確かめる問い、公的情報の見方まで、施設探しで具体的に何を確認すればよいかを寄り添ってまとめます。

FREE CONDITION CHECK

ガイドの内容をもとに、条件を選んで施設を探せます

AIコンシェルジュは準備中です。 公開までは、検索での絞り込みと、各施設ページからの問い合わせをご利用ください。

施設を探す気になる施設へ直接問い合わせ
事業者向け掲載・情報更新