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入居審査で確認されること|老人ホームの審査の中身と備え方

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

老人ホームの入居審査で施設が確認するのは、心身の状態・要介護度・必要な医療的ケアへの対応可否・費用・身元引受人・提出書類など。可否は施設ごとの体制で決まります。審査の流れと、家族が事前に準備・確認すべき点を寄り添って解説します。

01入居審査とは「合否」ではなく「合うかどうか」を確かめる場

「うちの親は審査に通るだろうか」「断られたらどうしよう」――そう不安になるのは、ご家族として当然のことです。けれど入居審査は、ふるいにかけて合否を決めるためのものというより、その施設がご本人の状態に合った暮らしを提供できるかを、施設と入居者の双方で確かめ合う場と考えるとよいでしょう。

たとえば必要な介護やケアの体制が整っていない施設に無理に入っても、ご本人がつらい思いをすることがあります。審査は、そうしたミスマッチを入居前に防ぐための確認の手続きです。

有料老人ホームでは、設置者は入居しようとする人に対し介護等の内容などの情報を開示することが老人福祉法(第29条第7項)で定められています。これを受けた国の指針(有料老人ホームの設置運営標準指導指針)では、契約締結前に十分な時間的余裕をもって、重要事項説明書(施設の体制・費用・契約条件などをまとめた書面)と入居契約書について説明を行うことが求められています。つまり審査は施設が一方的に判断する場ではなく、ご家族の側も施設の内容を見極める場でもあります。「確認されるだけ」ではなく「こちらも確認する」――その姿勢で臨んでください。

施設探しの段階では、まず気になる施設に入居できる要介護度の範囲・対応できる医療的ケアを問い合わせ、重要事項説明書をもらえるかを確認しておくと、後の審査がスムーズになります。契約前に確認しておきたい重要事項説明書や費用の見方も、あわせて押さえておくと安心です。

02審査で施設が確認する主な情報

施設によって細かな違いはありますが、入居審査では一般的に次のような点が確認されます。

  • 心身の状態:要介護度、認知症の有無や程度、持病・既往歴、服薬の状況など。実務上は書類審査に加え、本人面談(アセスメント)でかかりつけ医・服薬・排泄の方法・記憶力などが確認されることがあります。
  • 必要な医療的ケアへの対応可否:喀痰(かくたん)吸引や経管栄養(胃ろうなど)といった医療的ケアは、研修を修了し認定を受けた職員や看護体制があって初めて対応できるもので、すべての施設が対応できるわけではありません。「施設なら必ず対応できる」とは限らないため、必要なケアは一つずつ確認します。
  • 費用の支払い:継続して費用を負担できるかが見られることがあります。
  • 身元引受人・連帯保証人:多くの施設で求められます。国の指針でも、施設は要介護者等について生活や健康の状況・サービスの提供状況を身元引受人等へ定期的に報告することとされており、運営上想定された存在です。
  • 提出書類:健康診断書や診療情報提供書などが代表的です。

これらは施設ごとの体制で大きく変わります。具体的にどの項目をどう判断するかは、申し込む施設・自治体へ要確認としてください。

03審査の進み方の目安と、特養(特別養護老人ホーム)との違い

民間の有料老人ホームなどでは、おおまかに問い合わせ・申し込み → 書類審査 → 本人面談(アセスメント) → 施設内での検討という流れで進むのが一般的です。本人面談では、ご本人の心身の状態を施設の担当者が直接確認します。可能であれば、ご本人とご家族の双方が同席できると、暮らしの希望も伝えやすくなります。なお具体的な手順や順番は施設ごとに異なるため、申し込み先に確認してください。審査そのものだけでなく、問い合わせから契約までの一連の流れを事前に把握しておくと、見通しを持って進めやすくなります。

一方で、公的施設である特別養護老人ホーム(特養)は仕組みが異なります。特養は平成27年(2015年)4月1日以降、入所が原則として要介護3以上の方に限定され、要介護1・2の方は「やむを得ない事由」がある場合に特例入所が認められます(認知症で日常生活に支障がある、知的・精神障害を伴い同様の状況がある、家族等による深刻な虐待が疑われる、単身世帯などで家族や地域の支援が期待しにくい 等が考慮事項とされています)。

また国の指針では、特養は施設長・生活相談員・介護職員・看護職員・介護支援専門員などの関係職員で構成する入所検討委員会で、介護の必要の程度・家族の状況・在宅サービスの利用状況などを勘案し、必要性の高い方を優先して入所させるよう努めることとされています。つまり「申し込み順」ではなく必要性で判断される点が、民間施設と大きく違います。

施設探しでは、「この施設は民間か特養か」「自分の要介護度で申し込めるか」をまず確認しておきましょう。特例入所に該当しそうかどうかは、自治体や地域包括支援センターへの相談が確実です。

04「断られた」ときに考えたいこと

もし審査で入居が難しいと言われても、それはご本人や家族が否定されたわけではありません。対応できる要介護度の幅、医療的ケアの体制、看護職員の配置、費用の条件などは施設ごとに違うため、ある施設では合わなくても、別の施設なら合うということは十分にあります。

考えたい視点を挙げます。

  • 医療面が理由なら:必要なケア(喀痰吸引・経管栄養・インスリン管理など)に対応できる体制があるか、看護職員の配置や協力医療機関を重要事項説明書で確認し、その条件を満たす施設を探し直します。
  • 要介護度が理由なら:その施設の「入居対象となる者(自立/要支援/要介護)」の表示を確認し、ご本人の状態に合う種別の施設へ視野を広げます。
  • 費用が理由なら:費用を抑えやすい種別や、公的な負担軽減の仕組みがないかを、ケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体に相談します。利用できる制度や条件は状況により異なるため、断定せず相談先で確認してください。
  • 身元引受人・連帯保証人が理由なら:身元保証サービスや成年後見制度の活用が考えられます。対応は施設により異なるため、施設・自治体へ要確認です。身元引受人と身元保証人の役割の違いを先に整理しておくと、相談先を選びやすくなります。

一人で抱え込まず、担当のケアマネジャーや相談員に状況を共有することが、次の一歩につながります。

05審査の前に家族が準備・確認しておくこと

審査をスムーズに進め、ミスマッチを防ぐために、申し込みの前に次の点を整理しておくと安心です。

準備しておくと良いもの

  • 介護保険被保険者証(要介護度がわかるもの)
  • 健康診断書・診療情報提供書など、施設が求める書類。必要書類や有効期間(おおむね数か月以内とする施設もあります)は施設ごとに異なるため、申し込み先の案内で確認します。
  • かかりつけ医・服薬中の薬・持病や病歴のメモ
  • 身元引受人・連帯保証人になってくれる方の連絡先

施設に確認しておきたい質問

  • 入居できる要介護度の範囲/認知症の方の受け入れ可否
  • 必要な医療的ケアに対応できるか(看護体制・協力医療機関・夜間の対応)
  • 費用の総額と、契約解除や退去になる条件
  • 身元引受人・連帯保証人の要否と、いない場合の対応
  • 体験入居ができるか

国の指針では、既に開設されている有料老人ホームは、体験入居を希望する人に対して契約締結前に体験入居の機会の確保を図ることとされています。書面だけでなく、見学や体験で実際の雰囲気を確かめると、入居後の「思っていたのと違う」を減らせます。費用や条件は最新の重要事項説明書・料金表で確認してください。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

施設ごとに対応できる要介護度・医療体制・費用などの条件が異なるため、ご本人の状態と合わない場合に入居が難しいことはあります。ただしそれは施設の体制によるもので、ご本人が否定されたわけではなく、別の施設なら合う可能性は十分にあります。具体的な可否や条件は、申し込む施設・自治体へご確認ください。

A.

健康診断書・診療情報提供書・介護保険被保険者証などが一般的です。ただし必要書類や有効期間は施設によって異なり、おおむね数か月以内の健康診断書を求める施設もあります。申し込む施設の案内や重要事項説明書で、最新の必要書類を確認してください。

A.

多くの施設で身元引受人・連帯保証人が求められますが、対応は施設によって異なります。いない場合は身元保証サービスや成年後見制度の活用が考えられます。利用できるかどうかは断定できないため、施設・自治体・地域包括支援センターなどの相談先へご確認ください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • e-Gov法令検索 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条

    有料老人ホームの定義(第1項)、入居者・入居しようとする者への情報開示義務(第7項)、前払金の算定基礎の書面明示・保全措置(第9項)、前払金の返還契約(第10項)の根拠。

  • 厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について

    法第29条第7項に基づく情報開示として重要事項説明書を作成・交付し、契約締結前に十分な時間的余裕をもって説明すること、既設ホームは契約締結前に体験入居の機会確保を図ること、要介護者等の生活・健康・サービス提供状況を身元引受人等へ定期的に報告すること等を規定。

  • 厚生労働省 有料老人ホーム等 重要事項説明書 標準様式

    入居対象となる者(自立/要支援/要介護)、要介護度別の入居者数、前払金、連帯保証を行う銀行等、協力医療機関、職員体制、契約の解除の内容・解約予告期間、退去先別の人数などの欄を確認。

  • 厚生労働省 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について(平成26年12月12日 老高発1212第1号)

    特別養護老人ホームの入所は平成27年4月1日以降原則要介護3以上、要介護1・2の特例入所の考慮事項、施設長・生活相談員・介護職員・看護職員・介護支援専門員等で構成する入所検討委員会、協議記録の2年間保存を規定。

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

    施設の種別・体制・運営状況を公的に検索できる。申し込み前の比較に活用。

  • 申し込む施設の重要事項説明書・入居契約書・最新の料金表

    入居条件、対応できる医療的ケア、費用、契約解除・退去の条件、身元引受人の要否は施設ごとに異なるため、最新の書面で確認する。リンクは施設ごとに提供される。

  • お住まいの自治体(高齢福祉課等)・地域包括支援センター

    特養の申し込み手続きや特例入所の該当判断、費用の負担軽減、身元保証や成年後見の相談先として確認する。

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