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兄弟姉妹で介護費用を分担するときの考え方|扶養義務・話し合い・公的制度を表すイラスト費用

兄弟姉妹で介護費用を分担するときの考え方|扶養義務・話し合い・公的制度

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

親の介護費用を兄弟姉妹でどう分けるか。民法の扶養義務、話し合いの進め方、まとまらないときの家庭裁判所の扶養請求調停、負担を軽くする公的制度、そして施設探しで家族が決めておくことまで、寄り添って整理します。費用・制度の最新の数値は自治体・施設へ要確認です。

01まず知っておきたい「扶養義務」とは

親の介護費用を兄弟姉妹で分けるとき、出発点になるのが法律上の「扶養義務」です。民法第877条1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています(同条2項では、特別の事情があるとき家庭裁判所が三親等内の親族にも扶養義務を負わせることができるとされています)。

ただし、ここで大切なのは義務の「程度」です。親など直系尊属や兄弟姉妹への扶養義務は、一般に「生活扶助義務」と説明されます。これは、扶養する側が自分の社会的地位や収入に見合った生活を送れることを前提に、その余力の範囲で援助する義務だと解されているものです(親が幼い子を養う「生活保持義務」とは程度が異なるとされます)。

つまり、兄弟姉妹の誰かが自分の生活を切り詰めてまで全額を負担しなければならない、という性質のものではない、と一般に説明されます。各自の収入や暮らしの状況に応じて、無理のない範囲で支え合うのが基本の考え方です。

施設探しの段階では、この前提を兄弟で共有したうえで「わが家として月いくらまでなら出せるか」を早めに見積もっておくと、施設の月額費用の比較がしやすくなります。なお具体的な分担割合に法定の比率はないため、まずは家族の話し合いで決めていくことになります。個別の法的な見通しは、弁護士など専門家にご相談ください。

02分担の決め方の基本ステップ

分担割合に「兄弟だから均等」といった法律上の決まりはありません。各自の収入・生活状況を踏まえ、家族の協議で決めるのが原則です。次の順で進めると整理しやすくなります。

  1. 親本人の資産・年金・収入をまず確認する。介護費用は本人の財産から支払うのが基本で、足りない分を兄弟で補うという順序にすると、もめごとが減ります。
  2. 各自が出せる金額を、収入や家庭の事情(教育費・住宅ローンなど)も含めて率直に出し合う。
  3. お金以外の負担も「見える化」する。通院の付き添い、行政手続き、面会や帰省の交通費、日々の連絡係など、手間や時間も立派な負担です。
  4. 決めた内容は口約束で終わらせず、簡単でよいので書面やメッセージ履歴に残す。「誰が・何を・いつまで」を記録しておくと、後の食い違いを防げます。

こうした話し合いは、施設選びと並行して進めるのがおすすめです。入居後に毎月かかる費用は施設によって幅があり、入居にかかる費用の相場を先に押さえておくと話し合いの土台がつくりやすくなります。施設探しの段階で、各施設の重要事項説明書(施設の人員体制や料金の根拠を記した書類)や最新の料金表を兄弟で一緒に確認し、「この施設ならわが家の分担計画で続けられるか」を見ておくと安心です。具体的な金額や加算は変更されることがあるため、施設・自治体の最新資料で必ず確認してください。

兄弟姉妹で介護費用の分担を決める4ステップ(親本人の資産・年金の確認、出せる額を率直に出し合う、お金以外の手間の見える化、決めた内容の記録)と、まとまらないときの家庭裁判所の扶養請求調停(収入印紙1,200円分と連絡用郵便切手)を表したフロー図

03話し合いがまとまらないとき:家庭裁判所の調停

兄弟の協議がどうしても調わない、あるいは話し合い自体が難しいときは、家庭裁判所の「扶養請求調停(まとまらなければ審判)」という選択肢があります。各扶養義務者の経済状況・生活状況や、扶養を受ける親の意向などを考慮して、扶養の程度や方法が定められると案内されています。

裁判所の案内によると、申立先は「相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所」です。申立てに必要な費用は、収入印紙1,200円分(扶養を受ける人1人につき)と連絡用の郵便切手で、郵便切手の額は裁判所ごとに異なるため、申立て先の裁判所で確認が必要です。複数の扶養義務者がいる場合に、その扶養すべき順序を指定する申立てなどもできるとされています。最新の手続き・費用は、申立て先の家庭裁判所の案内で確認してください。

なお、過去に自分の分担を超えて立て替えた費用がある場合の清算(求償)については、ケースによって扱いが異なり得る部分です。個別の見通しは弁護士など専門家への相談をおすすめします。

調停はあくまで最後の手段で、まずは家族の合意を目指すのが望ましいかたちです。ただ「こういう公的な道もある」と知っておくだけで、話し合いに臨む気持ちは少し軽くなります。施設探しの場面では、調停などで時間がかかる可能性も見越し、当面の費用を誰が立て替えておくかを先に決めておくと、入居手続きを止めずに進められます。

04費用そのものを軽くする公的制度を一緒に確認

分担額を決める前に、そもそも親本人が支払う介護費用を軽くできる公的制度を兄弟で一緒に確認しておくと、話し合いの土台が整います。

一つは「高額介護サービス費」です。この制度は介護保険制度の基礎を押さえておくと理解しやすく、同じ月に支払った介護サービスの利用者負担額の合計が上限額を超えた場合、申請により超過分が払い戻される制度で、上限額は原則として「世帯」単位で設定されると案内されています(区分によっては個人単位の設定もあるとされます)。負担上限額は所得の区分ごとに段階的に定められていますが、区分や金額は見直されることがあるため、具体額はお住まいの自治体の最新資料で確認してください。

もう一つは「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間で、医療保険と介護保険の自己負担を世帯単位で合算し、所得区分ごとの限度額を超えた分が支給される制度と案内されています。所得区分ごとの限度額は見直され得るため、最新の数値は加入先の医療保険・自治体で必ず確認してください。

これらは「いくら戻り得るか」が施設選びにも影響します。施設探しの段階では、検討中の施設で毎月かかる費用のうち、どこまでが介護サービス費(=高額介護サービス費の対象になり得る部分)で、どこからが家賃・食費・管理費などの対象外かを、重要事項説明書で切り分けて見ておくと、実質的な家計負担をより正確に見積もれます。対象範囲や金額は制度・施設により異なるため、最終的には自治体・施設に確認してください。

05お金以外の不公平感をどう扱うか

費用分担でもめやすいのは、金額そのものより「お金は出すが手は出さない兄弟」と「近くで世話をする兄弟」の間の不公平感です。これは正解のある問題ではありませんが、扱い方の工夫はあります。

まず、介護の「手間」を見える化することです。通院の付き添い、ケアマネジャーや施設との連絡、書類手続き、緊急時の駆けつけなどは、時間も精神的な負担も大きいもの。これらを担う兄弟の金銭負担を、その分軽くするという調整は、実際の家庭でも行われています。遠方でお金しか出せない兄弟が金銭面を厚めに、近くで動く兄弟が手間を担う、といった役割分担も一つの考え方です。

税金の面では注意点があります。親を扶養親族として扶養控除(所得税)の対象にできるのは、兄弟が均等に送金していても、そのうち1人だけです。同一人について複数の人が重複して扶養親族として申告することはできないとされています(根拠は所得税法第218条・第219条等。詳しくは加入先・税務署や国税庁の案内で確認してください)。誰が控除を受けるかも、分担の話し合いに含めておくと公平感を保ちやすくなります。

施設探しの段階では、面会や付き添いを誰が担うかを踏まえ、面会のしやすい立地かどうかも施設選びの基準に加えると、入居後の手間の偏りを減らせます。立地と費用は両方を見比べて決めましょう。

06施設探しの段階で家族が決めておくとよいこと

費用分担の考え方が見えてきたら、入居までの流れと手続きも踏まえながら、施設探しを止めないために家族で先に決めておきたいことがあります。

  1. 予算の上限。親本人の資産・年金で賄える月額と、兄弟の分担で上乗せできる月額を合わせ、「毎月いくらまでなら無理なく続けられるか」を1つの数字にしておきます。入居時にかかる一時金がある施設もあるため、初期費用と月額は分けて考えておくと安心です。
  2. 窓口を誰にするか。施設からの連絡や契約手続きの代表者を1人決めておくと、見学予約や問い合わせがスムーズです。重要な決定は兄弟で共有するルールも合わせて決めておきます。
  3. 確認する書類。気になる施設が見つかったら、最新の料金表と重要事項説明書を取り寄せ、月額に含まれるもの・別途かかるもの(おむつ代、医療費、レクリエーション費など)を兄弟で一緒に確認します。費用の内訳は施設ごとに異なり、変更されることもあるため、最新情報は施設に直接確認してください。

この3点が決まっていると、複数の施設を同じ物差しで比較でき、「この施設ならわが家の分担計画で続けられる」という判断がしやすくなります。費用は入居後も続くものだからこそ、見学のときに遠慮せず、毎月の総額と内訳を具体的に尋ねておきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

いいえ。分担割合に法律上の決まりはありません。民法では兄弟姉妹に扶養義務がありますが、これは自分の生活を維持したうえで余力の範囲で援助する「生活扶助義務」と解されており、各自の収入や生活状況に応じて家族の話し合いで決めるのが原則です。均等でも、出せる人が多めでも構いません。個別の判断に迷うときは弁護士など専門家にご相談ください。

A.

家庭裁判所の「扶養請求調停(まとまらなければ審判)」を利用できます。裁判所の案内では、申立先は相手方の住所地の家庭裁判所など、費用は収入印紙1,200円分(扶養を受ける人1人につき)と連絡用の郵便切手とされています。郵便切手の額や最新の手続きは申立て先の裁判所で確認してください。各自の経済状況などを考慮して扶養の程度が定められます。個別の見通しは弁護士など専門家にご相談ください。

A.

通院付き添いや連絡係などの「手間」も負担として見える化し、それを担う兄弟の金銭負担を軽くする調整が行われています。法律上の決まった換算式はないため、家族で納得できる配分を話し合いましょう。施設選びの際は面会のしやすい立地かも基準に加えると、入居後の手間の偏りを減らせます。

A.

いいえ。同一人について複数の人が重複して扶養親族として申告することはできないとされています。兄弟が均等に送金していても、扶養控除(所得税)の対象にできるのは1人だけです(根拠は所得税法第218条・第219条等)。誰が控除を受けるかも分担の話し合いに含めると公平感を保ちやすくなります。詳しくは国税庁の案内や税務署で確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • 民法 第877条(扶養義務者)/e-Gov法令検索

    「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(第1項)、特別の事情がある場合の三親等内の親族への扶養義務(第2項)。2026-07-08 e-Gov現行条文で確認済み

  • 裁判所 扶養請求調停

    申立先・費用(収入印紙1,200円分/扶養を受ける人1人につき・連絡用郵便切手)・扶養順序の指定など。郵便切手の額は裁判所ごとに異なるため要確認。。2026-07-08 裁判所公式ページで申立先・収入印紙1,200円分・郵便切手の記載を確認済み

  • 厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養費制度

    毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間の医療・介護自己負担を世帯単位で合算。所得区分ごとの限度額は最新版で要確認。

  • 国税庁 2以上の所得者がいる場合の扶養親族等の所属

    同一人を複数の所得者が重複して扶養親族に申告できない(所得税法第218条・第219条)。

  • 厚生労働省 介護保険制度(高額介護サービス費を含む案内)

    高額介護サービス費の月額負担上限は原則世帯単位。区分・金額は見直され得るため、お住まいの自治体の最新資料で確認。

  • 検討中の施設の重要事項説明書・最新の料金表

    月額に含まれる費用と別途費用(おむつ代・医療費等)、入居一時金の有無。施設に直接確認するもので、リンクでの確認は不可。

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