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医療依存度が高い場合の入居条件|たんの吸引・経管栄養と看護体制の確認ポイント

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

たんの吸引や経管栄養(胃ろう)など医療的ケアが必要なご家族の施設探し。誰がどこまで医療的ケアを行えるかの制度と、施設類型ごとの看護体制の違い、入居前に確認したい看護・連携のチェックポイントを、寄り添う視点で整理します。

01医療依存度が高いと、なぜ入居先が限られるのか

たんの吸引や経管栄養(胃ろう・鼻からの管などで栄養をとること)が必要になると、「どこの施設なら受け入れてもらえるのか」と不安になられる方が多いと思います。入居先が限られて見える理由は、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。

1つめは「法制度の枠」です。医療的なケアは、本来は医師や看護師が担う行為であり、誰がどこまで行えるかが法律で決められています。介護職員がたんの吸引などを行うには、後述する研修の修了や事業所の登録といった条件を満たす必要があります。

2つめは「施設ごとの体制」です。同じ施設の種類(類型)でも、配置している看護師の人数や夜間の体制、協力してくれる医療機関とのつながりは施設ごとに大きく異なります。

つまり「○○型の施設だから必ず対応できる/できない」と一律には決まりません。まずはご本人に必要な医療的ケアを書き出し、それを一つずつ施設に確認していく——この姿勢が、医療依存度が高い場合の施設探しの土台になります。あわせて、施設の種類ごとの入居条件の違いも押さえておくと、医療面以外の確認漏れを防ぎやすくなります。次の章から、その確認に必要な知識を順に見ていきます。

02施設でできる医療的ケアの範囲(たんの吸引・経管栄養)

介護職員によるたんの吸引・経管栄養(あわせて「喀痰吸引等」と呼びます)は、平成24年(2012年)4月から、「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正にもとづいて制度化されました。それまでは通知による例外的な扱いでしたが、現在は法律上の位置づけが明確になっています。

厚生労働省の資料では、介護職員等が一定の条件のもとで行える範囲として、おおむね次の行為が挙げられています。

  • たんの吸引:口腔内(口の中)・鼻腔内(鼻の中)・気管カニューレ内部
  • 経管栄養:胃ろう・腸ろうによるもの、経鼻経管栄養(鼻から胃へ管を通すもの)

ただし、介護職員なら誰でも行えるわけではありません。実施には、(1)喀痰吸引等研修を修了して知識・技能を身につける、(2)都道府県から「認定特定行為業務従事者」の認定を受ける、(3)所属する事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県の登録を受ける——といった条件があります。

さらに研修には、不特定多数の方を対象とする第1号・第2号研修と、特定の方を対象とする第3号研修の区分があり、研修の種類によって対応できる行為の範囲が変わります。施設探しでは「介護職員が喀痰吸引に対応できる事業所か」「ご本人に必要な行為まで含まれるか」を、施設へ具体的に確認しましょう。たん吸引に対応できる施設の探し方や確認のコツを先に押さえておくと、この後の見学・問い合わせがスムーズになります。なお、制度の細かな要件は改定されることもあるため、最新の内容は厚生労働省や都道府県の情報、そして検討中の施設で確認するのが確実です。

03施設類型ごとの医療・看護体制の違い

医療的ケアの受け入れやすさは、施設の種類によっても傾向が異なります。代表的な類型を見てみましょう(具体的な配置基準の数値や対応範囲は施設・自治体で要確認です)。

  • 介護医療院:平成30年(2018年)4月に創設された、長期的な医療と介護の両方を必要とする方向けの施設です。日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアといった医療機能と、生活の場としての機能を兼ね備えており、医療依存度が高い方の選択肢として検討されることが多い類型です。
  • 介護老人保健施設(老健)・特別養護老人ホーム(特養):看護職員の配置などの基準が類型ごとに定められていますが、夜間も看護師が常駐しているとは限らず、夜間はオンコール(電話で呼び出す)体制をとる施設も少なくありません。
  • 介護付き有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):施設によって看護体制や医療連携の手厚さの差が特に大きい類型です。

ここで大切なのは、類型名だけで判断しないことです。同じ「介護付き有料老人ホーム」でも、24時間看護師がいる施設もあれば、日中のみの施設もあります。気になる施設を見つけたら、「看護師は何時から何時までいるのか」「夜間はどんな体制か」を必ず施設に直接たずねてください。

04「うちの状態でも入れる?」確認すべきチェックリスト

医療依存度が高い場合、見学や問い合わせの段階で次のポイントを確認しておくと、入居後のミスマッチを防ぎやすくなります。施設に聞きづらいと感じる必要はありません。どれもご家族として当然の確認事項です。

1. 看護体制(夜間を含む) 看護師は何時から何時までいるか、夜間は常駐かオンコールか。たんの吸引が夜間にも必要な場合は、夜の体制が特に重要になります。

2. 実際に対応できる医療的ケア たんの吸引(どの部位まで)、経管栄養、その他必要な処置に「この施設で」対応できるか。前章のとおり、研修区分や職員体制によって対応範囲は施設ごとに違います。

3. 主治医・協力医療機関との連携 協力してくれる医療機関や、状態が変化したときの受診・入院の流れ。今の主治医を続けられるか、施設の協力医に切り替わるのかも確認しましょう。

4. 状態が変わったときの方針 医療依存度がさらに上がったとき、住み続けられるのか、転院・退去になるのか。この点は重要事項説明書にも関わるため、後の章でも触れます。

これらは施設個別の事情によって答えが変わります。「一般的にはこう」ではなく、検討中の施設に一つずつ確認することが、医療依存度が高い方の施設探しでは欠かせません。

05費用・要件は施設と自治体で要確認

医療的ケアが必要な場合、加算(追加のサービスにかかる費用)などで費用が変わることがあります。ただし、費用や受け入れ要件は施設・サービスごと、また制度改定によっても変わるため、ここで具体的な金額や条件を断定することはできません。最新の正確な情報は、必ず施設の料金表や重要事項説明書、そしてお住まいの自治体の窓口で確認してください。

重要事項説明書は、契約前に施設が交付する書類で、サービス内容・職員体制・費用・退去条件などが記載されています。医療依存度が高い場合は、特に次の点に注目して読みましょう。

  • 看護職員の配置(人数・時間帯)
  • 協力医療機関の名称と連携内容
  • 医療的ケアに関する費用や加算
  • 状態が変化した場合の継続・退去の条件

わかりにくい箇所は、遠慮なく施設の相談員に質問して構いません。

また、要介護認定や介護保険の手続き、特別養護老人ホームの入所要件(原則として要介護3以上。やむを得ない事情がある要介護1・2の方には、市町村の関与のもとで特例入所が認められる場合があります)など、制度面の疑問は地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャーに相談すると、ご本人の状況に即した案内を受けられます。入所要件は制度改定で変わることもあるため、最新の取り扱いは自治体の窓口で確認すると安心です。

06施設に確認する前に整理しておきたいこと

医療依存度が高い場合の施設探しは、情報を集めるほど不安が大きくなりがちです。けれども、ご本人に必要な医療的ケアを正確に整理しておくことが、結果的に最短の近道になります。

施設に問い合わせる前に、次の情報を手元にまとめておくとスムーズです。

  • 現在必要な医療的ケアの内容(たんの吸引の部位・頻度、経管栄養の種類など)
  • 服薬や処置の内容、医療機器の使用状況
  • 今の主治医・かかりつけ医の情報と、これまでの経過
  • 夜間に必要なケアがあるか

これらは、主治医や担当の看護師、ケアマネジャーに相談しながら整理すると正確になります。施設側も、この情報があれば「自施設で対応できるか」を具体的に判断しやすくなります。

そのうえで、この記事で挙げた看護体制(夜間含む)・対応できる医療的ケア・医療機関との連携を、検討中の施設に一つずつ確認していきましょう。より広い視点で医療対応が必要な方の老人ホーム選びのポイントも参考にすると、比較検討がしやすくなります。「うちの状態で、この施設は本当に大丈夫か」を、遠慮なく具体的にたずねること——それが、ご本人にもご家族にも納得のいく施設選びにつながります。一人で抱え込まず、専門職の力も借りながら進めてください。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

必ずしも入れないわけではありません。一定の研修を修了し、都道府県の認定を受けた介護職員がいて、事業所が登録特定行為事業者として登録されている場合などには、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部のたんの吸引や、胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養に対応できることがあります。ただし対応できる範囲は施設ごとに異なるため、「この施設でご本人に必要な医療的ケアに対応できるか」を必ず個別に確認してください。

A.

施設によって異なります。夜間は看護師が常駐せず、オンコール(電話で呼び出す)体制をとる施設も少なくありません。たんの吸引などが夜間にも必要な場合は、夜の看護体制が特に重要になります。施設見学や問い合わせの際に「夜間は常駐かオンコールか」「夜間に必要なケアへどう対応するか」を具体的にたずね、必要であれば重要事項説明書でも確認しましょう。

A.

一律には決められません。介護医療院は長期的な医療と介護の両方を必要とする方向けに創設された類型で、医療機能を兼ね備えているとされます。一方、特養や老健、有料老人ホームなどでも看護体制や医療連携は施設ごとに差が大きく、類型名だけでは判断できません。ご本人に必要な医療的ケアを主治医やケアマネジャーと整理し、看護体制・対応範囲・医療機関との連携を施設ごとに確認したうえで比較することをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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