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介護医療院とは|医療と介護を兼ね備えた長期療養の介護保険施設

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

介護医療院は、日常的な医学管理や看取りといった医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた、長期療養のための介護保険施設です。対象者やI型・II型の違い、費用の考え方、施設探しで確認したいことを、一次情報をもとにやさしく整理します。

01介護医療院とは — 医療と「暮らし」を両方支える施設

ご家族に医療的なケアが必要になると、「病院では長くいられないけれど、自宅で看るのも不安」という壁にぶつかりやすいものです。介護医療院は、そうした 長期的な医療と介護の両方が必要な方 のための介護保険施設です。

厚生労働省によると、介護医療院は「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」といった医療機能と、「生活施設」としての機能を兼ね備えた施設として、平成30年(2018年)4月に創設されました(介護保険法第8条第29項)。法律上の定義は「要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」とされています。

つまり、「治療がメインの病院」でも「医療がほとんどない住まい」でもなく、医療を受けながら長く生活する場所 という位置づけです。

施設探しの最初の一歩としては、ご本人にどの程度の医学管理が必要か(点滴・服薬管理・処置の頻度など)を、かかりつけ医やケアマネジャーに整理してもらうとよいでしょう。その内容が、介護医療院が候補になるかどうかの判断材料になります。

02なぜできた施設なのか — 介護療養型医療施設からの転換

介護医療院を理解するには、その成り立ちを知っておくと混乱しにくくなります。

かつて「介護療養型医療施設(介護療養病床)」という、医療の必要な高齢者が長期に入院する施設がありました。介護医療院は、この施設の転換先として創設されたものです。介護療養型医療施設は経過措置期間を経て、2024年(令和6年)3月末で廃止されました(厚生労働省・健康長寿ネット〈公益財団法人長寿科学振興財団〉)。

そのため、「以前から介護療養病床だった建物が介護医療院に変わった」というケースが少なくありません。施設によって設備や雰囲気に幅があるのは、こうした背景も関係しています。

施設探しでは、パンフレットやホームページの名称だけで判断せず、現在の施設類型が「介護医療院」であること を見学時や問い合わせ時に確認しましょう。あわせて、いつ開設・転換したか、どのような医療体制を整えているかを聞いておくと、ご本人の状態に合うかどうかをイメージしやすくなります。なお、転換した施設には療養室の床面積や廊下幅などで一定の基準緩和が認められている場合があるため、相部屋の広さや個室の有無は施設ごとに実際に見て確かめるのが安心です。

03どんな人が対象か — 要介護とI型・II型

介護医療院を利用できるのは、要介護1〜5 と認定された方です。要支援1・要支援2の方は対象外 とされています(厚生労働省の定義〈介護保険法第8条第29項の「要介護者」〉および健康長寿ネット)。

さらに、介護医療院には I型(Ⅰ型)とII型(Ⅱ型) の区分があります。厚生労働省の資料では、おおまかに次のように整理されています。

  • I型:重篤な身体疾患を有する方や、身体合併症のある認知症高齢者など、より手厚い医療を必要とする方を想定(介護療養病床相当)
  • II型:I型と比べて容体が比較的安定した方を想定(介護老人保健施設相当以上)

人員配置の基準もI型のほうが手厚く設定されています(例:医師の配置基準がI型は48対1、II型は100対1など。注:「48対1」は入所者48人に対し医師1人という意味)。

ただし、I型・II型のどちらに該当するか、ご本人を受け入れられるかは、最終的に施設ごとの判断 になります。喀痰吸引(かくたんきゅういん:のどにたまった痰を機器で吸い取るケア)や経管栄養(けいかんえいよう:胃ろうなどから栄養を入れる方法)が必要な場合も、対応の可否は施設の人員・体制によって異なります。「介護医療院なら必ず対応できる」とは限らないため、必要な医療処置を具体的に伝えたうえで、受け入れ可否を必ず施設に確認 してください。

04受けられるサービスと設備の基準

介護医療院は、日常的な医学管理や看護、介護・機能訓練に加えて、看取り・ターミナルケア を担う役割も持つとされています。長く療養しながら、最期まで過ごす場所として選ばれることもあります。

設備面では、運営の基準(介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準〈平成30年厚生労働省令第5号〉)により、たとえば次のような枠組みが定められています。

  • 療養室は定員4人以下、床面積は1人あたり8.0㎡以上
  • 多床室(相部屋)でも、家具やパーティション等でプライバシーに配慮した環境整備に努める
  • 療養室のほかに、診察室・処置室・機能訓練室・臨床検査設備・エックス線装置などを備える

これらはあくまで制度上の基準であり、実際の居室の広さや個室の有無、医療設備の充実度は施設ごとに異なります

施設探しでは、見学のときに「相部屋か個室か」「仕切りでどこまでプライバシーが保てるか」「リハビリや機能訓練をどの頻度で受けられるか」「看取りまで対応してもらえるか」を、ご本人の希望と照らし合わせて確認しましょう。具体的なサービス内容や提供体制は、施設の重要事項説明書 に記載されています。契約前に必ず目を通し、不明点は遠慮なく質問することをおすすめします。

05費用の考え方 — 自己負担と負担軽減のしくみ

介護医療院をはじめとする介護保険施設を利用すると、費用は大きく分けて次の負担で構成されます(厚生労働省・介護サービス情報公表システム)。

  • 介護サービス費用の 1割(一定以上の所得がある方は2割または3割)
  • 居住費・食費・日常生活費

つまり、介護サービス部分の自己負担に加えて、部屋代・食事代などが別途かかるしくみです。

所得や資産が一定以下の方には、補足給付(特定入所者介護サービス費) という負担軽減のしくみがあり、居住費と食費の負担が軽くなります。利用するには、お住まいの 市区町村に「負担限度額認定」を申請 する必要があります。該当しそうな場合は、早めに自治体の介護保険窓口やケアマネジャーに相談してください。

なお、居住費(多床室の室料負担など)に関するルールは制度改正で見直されることがあります(例:令和7年〈2025年〉8月から、一部の施設類型・多床室で室料負担の取り扱いが見直されています。対象の範囲や金額は所得段階や施設の類型によって異なります)。具体的な金額やご自身が対象になるか、補足給付でどう変わるかは、必ず最新の情報を確認することが必要 です。

施設探しでは、月額の総額を「介護費+居住費+食費+その他」に分けて見積もってもらい、施設の最新の料金表や重要事項説明書、自治体の窓口 で確認しましょう。パンフレットの目安額だけで判断しないことが、後悔の少ない施設選びのポイントです。

06他の施設との違いと、見学で確認したいチェックリスト

介護医療院は「医療が手厚い長期療養の施設」という点で、他の介護保険施設と性格が異なります。制度上の枠組みとして、ざっくり次のように整理できます。

  • 特別養護老人ホーム(特養):生活の場が中心。原則として要介護3以上が対象。有料老人ホームなど民間施設との違いは特養と有料老人ホームの違いで詳しく比較しています
  • 介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指したリハビリ中心の施設
  • 介護医療院:医療と介護を兼ね備えた、長期療養・看取りまで視野に入れた施設

どの施設が合うかは、ご本人の 医療の必要度過ごし方の希望 によって変わります。詳しい違いや料金は、それぞれの施設や自治体で確認してください。まずは老人ホームの種類と選び方全体を俯瞰しておくと、介護医療院がどの位置づけにあるかがつかみやすくなります。

最後に、介護医療院を見学・問い合わせするときのチェックリストです。最期まで過ごせるかどうかを重視する場合は、看取り対応できる老人ホームで確認しておきたいポイントもあわせてチェックしておくと安心です。

  • 現在の施設類型が「介護医療院」か、I型・II型のどちらか
  • 必要な医療処置(喀痰吸引・経管栄養・看取りなど)に対応できるか
  • 居室は個室か多床室か、プライバシーへの配慮はどうか
  • リハビリ・機能訓練の内容と頻度
  • 月額費用の内訳(介護費・居住費・食費・その他)と最新の料金
  • 負担限度額認定の対象になりそうか(自治体に確認)

これらを書き出して見学に臨むと、複数の施設を落ち着いて比較できます。迷ったときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら進めていきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

いずれも介護保険施設ですが、性格が異なります。特別養護老人ホーム(特養)は生活の場が中心で原則要介護3以上、介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設です。これに対し介護医療院は、日常的な医学管理や看取りといった医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えた、長期療養向けの施設です。どの施設が合うかはご本人の医療の必要度や希望によって変わるため、詳しい違いや料金は各施設・自治体にご確認ください。

A.

介護医療院は、経管栄養や喀痰吸引などの医療的ケアや看取りを支える役割を持つ施設とされています。ただし、こうしたケアに対応できるかどうかは、その施設の人員配置や体制によって異なり、「介護医療院なら必ず対応できる」とは限りません。必要な医療処置を具体的に伝えたうえで、受け入れ可否を必ず施設に直接ご確認ください。

A.

費用は、介護サービス費用の1割(所得に応じて2割または3割)に加えて、居住費・食費・日常生活費の負担で構成されます。所得や資産が一定以下の方には、居住費・食費が軽くなる補足給付(特定入所者介護サービス費)があり、利用には市区町村への負担限度額認定の申請が必要です。具体的な金額や居住費(多床室の室料負担など)に関するルールは改正されることがあるため、最新の情報は施設の料金表・重要事項説明書や自治体の窓口でご確認ください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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