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看取り対応できる老人ホーム|最期まで過ごすために確認することを表すイラスト医療・看護

看取り対応できる老人ホーム|最期まで過ごすために確認すること

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

「この施設で最期まで過ごせるか」を知りたい家族へ。看取り対応の可否は施設の方針と体制で決まります。重要事項説明書・看取りに関する指針の読み方、施設種別ごとの傾向、医療的ケアの考え方、人生会議(ACP)まで、見学前に確認したい点を寄り添って整理します。

01「看取り対応」とは――最期まで施設で過ごすために知っておきたいこと

「看取り」とは、回復が難しい段階に入った方が、できるだけ穏やかに最期の時間を過ごせるよう、痛みや不安をやわらげながら本人らしさを支えるケアのことです。延命のための医療を増やすことが目的ではなく、本人が望む暮らし方に寄り添う考え方が土台になります。

ここで大切なのは、「看取りに対応している施設」だからといって、どんな状態でも必ず最期までその施設で過ごせると約束されるわけではない、という点です。本人の体調の変化や必要な医療的ケアの内容によっては、病院での対応が必要になる場合もあります。だからこそ、入居を考える段階で「どこまで施設で対応してもらえるのか」を具体的に確認しておくことが、後悔のない選択につながります。医療的なケアが多い方は、医療対応が必要な人の老人ホーム選びもあわせて確認しておくと、施設ごとの違いをより具体的にイメージできます。

施設探しでまず意識したいのは、看取り対応の「有無」だけでなく「方針と体制」です。たとえば、急変時にどう対応するか、夜間に看護職員がいるか、協力してくれる医療機関があるか。これらは施設ごとに大きく異なります。パンフレットの「看取り対応可」という一言だけで判断せず、次の章で説明する書類と見学での質問を通じて、ご家族の目で確かめていきましょう。

02必ず確認したいのは『重要事項説明書』と『看取りに関する指針』

看取り対応を見極めるうえで、いちばん確実なのは施設が交付する「重要事項説明書」を読むことです。重要事項説明書とは、入居前に施設が説明する、サービス内容や費用・体制などをまとめた書類です。ここで看護職員の勤務時間帯、夜間の体制、協力医療機関、急変時の対応方針などを確認できます。

あわせて確認したいのが「看取りに関する指針」です。看取りに対応する施設では、看取りの考え方や進め方、医師との連携、家族への連絡方法などをまとめた指針を定め、入居時に本人・家族へ説明することがあります。この指針の有無と中身を見ることで、その施設がどれだけ看取りに向き合っているかが見えてきます。指針の様式や記載内容は施設によって異なるため、実際に見せてもらいながら確認しましょう。

施設探しで具体的に確認したいのは次の点です。「夜間に看護職員はいるか、不在ならどう対応するか」(この観点は看護師がいる老人ホームの選び方でも詳しく取り上げています)「協力医療機関はどこで、往診や緊急時の連携はあるか」「容体が変わったとき、家族にどう連絡が来るか」「居室を移る必要が生じた場合、追加の費用はかかるか」。これらは施設によって異なるため、口頭の説明だけでなく書面で残してもらうと安心です。費用や体制の最新情報は、必ずその施設の最新の重要事項説明書・料金表で確認してください。

03施設の種類で看取りの考え方はどう違う――断定せず「方針を確認」

老人ホームと一口に言っても種類があり、看取りへの向き合い方の傾向は異なります。ただし同じ種別でも施設ごとに方針が違うため、ここで挙げる傾向はあくまで出発点として、最終的には個別の施設に確認することが前提です。

特別養護老人ホーム(特養)は、社会福祉法人や地方公共団体などが運営する施設で、長く暮らす「終の棲家」として、看取りまで支えることも想定されている位置づけの施設です。一方、介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目指す中間的な施設で、利用期間が一定の目安にとどまる点が特養と異なります。看取りを前提に長く暮らす場としては性格が違うため、目的に合うかを確認しましょう。なお、看取りに対応するかどうかは同じ種別でも施設ごとに異なるため、必ず個別に確かめてください。

介護付き有料老人ホームやグループホーム(認知症の方が少人数で暮らす住まい)でも、看取りに対応する施設はありますが、その範囲や体制は施設ごとに大きく差があります。「うちは看取りまで対応します」と言われた場合も、どの段階まで、どんな医療体制で対応するのかを必ず確かめてください。判断材料として、これまでの看取りの取り組みや、その際の医療機関との連携の様子を質問するのも有効です。種別だけで決めつけず、一つひとつの施設の方針と体制を比べることが、納得できる選択への近道です。

04胃ろう・たんの吸引が必要なとき――『施設なら必ず対応可』ではない理由

たんの吸引(喀痰吸引:口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)や経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)は、本来は医師や看護職員が行う医行為です。ただし、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、平成24年(2012年)4月から、一定の研修を修了した介護職員等も、一定の条件のもとでこれらを実施できるようになりました。

ここで誤解しやすいのが、「施設なら必ず対応してもらえる」という思い込みです。介護職員等がこれらのケアを行うには、(1)喀痰吸引等研修を修了し、都道府県から認定(認定特定行為業務従事者)を受けていること、(2)勤務先が登録特定行為事業者として登録されていること、(3)医師の指示があること、(4)医師・看護職員と連携し、本人の状態を確認しながら進める体制があること、が前提とされています。これらが整っていなければ、たとえ看取りに対応する施設でも、その医療的ケアには対応できない場合があります。

この制度は介護職員等を対象とした仕組みであり、施設が単独でどんな医療行為でも担えるようになるものではありません。施設探しでは、必要なケア(たとえば胃ろうの管理、たんの吸引など)を具体的に挙げて、「この施設で、誰が、どの時間帯まで対応できるか」を一つずつ確認しましょう。特にたんの吸引が必要な場合は、たん吸引対応できる老人ホームの探し方で確認の視点をより詳しく整理しています。対応できるかどうかは本人の状態によっても変わるため、最新の状況はその施設と、かかりつけ医・自治体の窓口に必ず確認してください。

05本人の気持ちを大切にする――『人生会議(ACP)』と家族の準備

看取りを考えるうえで欠かせないのが、本人の気持ちを中心に据えることです。国(厚生労働省)は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を平成30年(2018年)3月に改訂し、医療や介護の方針、どのように生きたいかを、本人・家族等と医療・ケアチームが日頃から繰り返し話し合うことの大切さを示しました。この繰り返しの話し合いはACP(アドバンス・ケア・プランニング)、いわゆる「人生会議」と呼ばれます。

このガイドラインの改訂では、医療・ケアチームに介護に携わる人も含まれることが明確にされ、話し合った内容はその都度文書にまとめ、本人・家族等と共有することが望ましいとされています。本人の意思は時とともに変わりうるからこそ、一度きりではなく折に触れて確認していく姿勢が大切です。また、本人が自分で意思を伝えられなくなる場合に備えて、気持ちを推し量ってくれる信頼できる人(家族等)をあらかじめ決めておくことの大切さも示されています。

ご家族としてできる準備は、特別なことばかりではありません。「どこで、どんなふうに過ごしたいか」「延命について本人はどう考えているか」を、穏やかなときに少しずつ聞いておく。それを記録に残し、施設のスタッフや医師にも伝える。施設探しの段階でも、こうした本人の希望を施設の看取り方針と照らし合わせ、「この施設なら本人の望みに寄り添ってもらえそうか」という視点で見ていくと、選択の軸がぶれません。

06見学・面談で聞いておきたいチェックリスト

最後に、施設見学や面談で確認しておきたい点を整理します。書類だけでは分からない雰囲気や対応の姿勢は、実際に足を運んでこそ見えてきます。

体制面では、「看取りに関する指針はあるか、見せてもらえるか」「夜間も含めた看護職員の勤務時間帯」「協力医療機関と、往診・急変時の連携の仕組み」「必要な医療的ケア(胃ろう、たんの吸引など)に、いつ・誰が対応できるか」を確認しましょう。気持ちの面では、「本人の希望をどう聞き取り、ケアに反映してくれるか」「容体が変わったとき、家族にどのタイミングで連絡が来るか」「家族が付き添える環境か」も大切な観点です。

費用については、看取りに関わる加算や、居室の移動に伴う追加費用が発生する場合があります。具体的な金額や制度の要件は施設・年度・自治体によって異なり、ここで断定はできません。必ずその施設の最新の料金表・重要事項説明書を取り寄せ、不明点は施設の相談員や自治体の窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに相談してください。複数の施設を同じ項目で比べると、ご家族にとって本当に合う場所が見えやすくなります。焦らず、本人らしい最期を一緒に考えていきましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

必ずとは言えません。看取り対応の可否や範囲は施設の方針や体制によって決まり、本人の体調の変化や必要な医療的ケアの内容によっては、病院での対応が必要になる場合もあります。入居前に重要事項説明書と看取りに関する指針を確認し、「どの段階まで、どんな医療体制で対応してもらえるか」を施設に直接確かめてください。

A.

施設によって対応できる範囲が異なります。たんの吸引や経管栄養は本来医師・看護職員が行う医行為ですが、研修を修了し認定を受けた介護職員等も、医師の指示や看護職員との連携体制など一定の条件のもとで実施できるとされています。これらの体制が整っているかは施設ごとに違うため、必要なケアを具体的に挙げて、いつ・誰が対応できるかを施設とかかりつけ医に確認しましょう。

A.

制度や施設、本人の状態によって異なり、ここで断定することはできません。看取りに関わる加算や居室移動に伴う追加費用が生じる場合もあります。最新の金額や要件は、その施設の最新の料金表・重要事項説明書で確認し、不明点は施設の相談員や自治体の窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • 厚生労働省「『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』の改訂について」報道発表(平成30年3月)

    ガイドラインの正式名称(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン)・改訂年月(平成30年3月)、ACP(人生会議)、繰り返し話し合うこと、医療・ケアチームに介護従事者を含めること、信頼できる者を家族等に拡大したことの根拠。

  • 厚生労働省「喀痰吸引等制度について」

    喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)・経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)の範囲、社会福祉士及び介護福祉士法による平成24年4月施行、認定特定行為業務従事者・登録特定行為事業者・医師の指示・看護職員との連携体制が前提であることの根拠。

  • 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)

    施設の種別・体制等の基本情報を調べる際の公的な検索システム。

  • 各施設の重要事項説明書・看取りに関する指針・最新の料金表

    看護体制・夜間体制・協力医療機関・看取り方針・追加費用など、施設個別の最新情報は必ず当該施設の書面で確認する。リンクできないため施設へ直接請求。

  • 自治体の窓口・地域包括支援センター・担当ケアマネジャー

    制度・費用・地域の施設状況の最新情報や個別相談の窓口。費用や制度要件は年度・自治体で変わるため要確認。

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