老人ホームを探す前に、まず知っておきたい大切な前提があります。インスリン注射は「医行為(医療行為)」にあたり、原則として医師か看護師が行うもので、介護職員が入居者に代わって注射を打つことはできません。これは医師法などの解釈に関わる決まりで、施設の方針というより制度上の前提です。
注射を実際に行えるのは、基本的に (1) 医師・看護師、(2) 医師の指導のもとで行う本人の自己注射、(3) 医師の指導のもとでご家族が行う場合、のいずれかです。つまり老人ホームでインスリンが必要な場合、ポイントになるのは「その施設に看護師がいるか」「ご本人が自分で打てるか」という点になります。
ここで誤解しやすいのが、研修を修了した介護職員が行える医療的ケア(喀痰吸引〈かくたんきゅういん=たんの吸引〉や経管栄養〈けいかんえいよう=胃ろうなどからの栄養補給〉)の制度です。これは社会福祉士及び介護福祉士法にもとづく仕組みですが、対象は喀痰吸引と経管栄養に限られ、インスリン注射は含まれていません。
ですから施設探しでは、「医療対応できます」という説明だけで安心せず、実際に注射を行うのが誰なのか(看護師か、本人の自己注射か)を必ず確認しましょう。ご本人にどの形が当てはまるかは状態によって変わるため、主治医にも相談してください。インスリン以外の胃ろうや喀痰吸引まで含めた医療対応全体の見方は、医療対応が必要な人向けの老人ホームの選び方でも整理しています。
