メインコンテンツにスキップ
介護しせつさーち
インスリン対応できる老人ホームの探し方を表すイラスト医療・看護

インスリン対応できる老人ホームの探し方

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

インスリン注射は医行為で、原則として医師か看護師が行います(医師の指導のもとでの本人の自己注射などを除く)。誰が打てるのか、介護職員に頼める周辺サポートの範囲、打つ時間帯に看護師がいるかなど、老人ホーム選びで確認したいポイントを家族向けにやさしく解説します。

01インスリン注射は誰が打てる?――まず「医行為」という前提を押さえる

老人ホームを探す前に、まず知っておきたい大切な前提があります。インスリン注射は「医行為(医療行為)」にあたり、原則として医師か看護師が行うもので、介護職員が入居者に代わって注射を打つことはできません。これは医師法などの解釈に関わる決まりで、施設の方針というより制度上の前提です。

注射を実際に行えるのは、基本的に (1) 医師・看護師、(2) 医師の指導のもとで行う本人の自己注射、(3) 医師の指導のもとでご家族が行う場合、のいずれかです。つまり老人ホームでインスリンが必要な場合、ポイントになるのは「その施設に看護師がいるか」「ご本人が自分で打てるか」という点になります。

ここで誤解しやすいのが、研修を修了した介護職員が行える医療的ケア(喀痰吸引〈かくたんきゅういん=たんの吸引〉や経管栄養〈けいかんえいよう=胃ろうなどからの栄養補給〉)の制度です。これは社会福祉士及び介護福祉士法にもとづく仕組みですが、対象は喀痰吸引と経管栄養に限られ、インスリン注射は含まれていません

ですから施設探しでは、「医療対応できます」という説明だけで安心せず、実際に注射を行うのが誰なのか(看護師か、本人の自己注射か)を必ず確認しましょう。ご本人にどの形が当てはまるかは状態によって変わるため、主治医にも相談してください。インスリン以外の胃ろうや喀痰吸引まで含めた医療対応全体の見方は、医療対応が必要な人向けの老人ホームの選び方でも整理しています。

02介護職員にお願いできること・できないこと

「介護職員は注射を打てない」と聞くと不安になるかもしれませんが、介護職員がインスリンに関してまったく関われないわけではありません。

厚生労働省の通知(令和4年12月1日 医政発1201第4号)では、在宅介護などの現場で、介護職員が次のような周辺のサポートを行うことは、原則として医行為ではないと整理されています。

  • あらかじめ医師から指示されたタイミングでの、注射の声かけ・見守り
  • 未使用の注射器などを本人へ手渡すこと
  • 使い終わった注射器の片付け(ただし針を抜いて処分する行為は除く)
  • 注射に関する記録
  • 本人が測定した血糖値が、医師の指示した範囲に合っているかの確認

これらは、本人が自分で打つことを前提に、容態が安定している場合の整理です。患者の状態が不安定で専門的な管理が必要な場合などは医行為にあたることもあり、その判断には医師・看護職員との連携が前提とされています。

また、血糖値をもとに「打つべきか」を判断したり、量を決めたりすること(医学的な判断)は医行為で、介護職員はできません。異常な値が出たときは医師や看護師に報告し、指示を仰ぐ流れになります。

施設に問い合わせるときは、「注射そのものは誰が行い、見守りや記録はどう分担しているか」を具体的に聞くと、その施設の体制が見えてきます。

03施設タイプより「看護師がいつ・どれだけいるか」を見る

インスリン対応で本当に大切なのは、施設の種類の名前よりも、看護師が「いつ」「どれだけ」いるかです。インスリンは食前など打つ時間帯が決まっていることが多いため、その時間に看護師が勤務していなければ、看護師による注射は受けられません。

看護体制は施設によって大きく異なります。日中だけ看護師がいる施設もあれば、夜間は看護師がいない施設もあります。夜間の看護師配置はすべての施設に一律に義務づけられているわけではないため、「看護師がいる施設」という説明だけでは、夜間や早朝の対応まではわかりません。

そこで、施設を比べる前に、まずご本人の投与スケジュールを整理しておきましょう。

  • 1日に何回打つか(食前のみか、複数回か)
  • 打つのは何時ごろか(朝・昼・夕・就寝前など)
  • 自分で打てるのか、看護師に打ってもらう必要があるのか

そのうえで、「その時間帯に看護師が勤務しているか」を施設に確認します。1日に複数回、あるいは夜間にも看護師の注射が必要な場合は、その時間帯に看護師が対応できる体制があるかが大きな分かれ目になります。夜間の対応体制の確認方法は夜間の医療対応を確認する方法でも詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。看護師の配置そのものを軸に施設を比べたい場合は、看護師がいる老人ホームの選び方も参考になります。どの体制が必要かはご本人の状態によって変わるため、必ず主治医にも相談しながら進めてください。

04見学・問い合わせで確認したいチェックリスト

インスリン対応を確かめるには、パンフレットの「医療対応可」という表記だけでは足りません。見学や問い合わせのときに、次の点を具体的に質問してみてください。

  • 注射を行うのは誰か:看護師が打つのか、本人の自己注射を見守る形なのか
  • その時間帯に看護師がいるか:ご本人が打つ時間(食前など)に、注射できる職員が勤務しているか
  • 夜間・早朝の体制:夜間に看護師がいない場合、就寝前や早朝の注射はどうするのか
  • 低血糖など急変時の対応:体調が急に悪くなったとき、誰がどう判断し、どこへ連絡するのか
  • 提携している医療機関:かかりつけ医や協力医療機関との連携、急変時の搬送先
  • 重要事項説明書の記載:看護職員の人数・勤務時間、医療連携の内容がどう書かれているか

これらは施設ごとに事情が大きく異なります。同じ種類の施設でも対応できる範囲は違うため、「種別」でまとめて判断せず、候補の施設一つひとつに直接たずねることが大切です。特に提携している医療機関については、協力医療機関を見るときのポイントで配置医師との違いや夜間・救急時の確認観点をまとめています。回答はメモに残し、複数施設を並べて比べると、ご本人の状態に合う施設が見えてきます。

05受け入れ可否や費用は施設ごとに違う――最新情報は必ず確認を

インスリンが必要な方を受け入れられるかどうか、また費用がどうなるかは、施設ごと・時期ごとに異なり、ここで一律に「できる/いくら」と断定することはできません。看護体制や空室の状況によって、同じ施設でも時期により受け入れ可否が変わることもあります。

ですから、最終的な判断は、各施設の最新の重要事項説明書・料金表と、施設からの回答で確認してください。医療連携や看護職員の体制は、入居後の暮らしを左右する重要な情報です。契約前に書面で確かめておくと安心です。

候補となる施設を公的な情報から探したいときは、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」が役立ちます。全国の介護事業所やサービス付き高齢者向け住宅などを検索・比較できる公式のシステムです。ただし、看護職員の体制や、受け入れ可能な医療的ケアの細かい内容まではこのシステムだけではわからないことが多いため、気になる施設は最終的に直接問い合わせて確認してください。

どう進めればよいか迷うときは、担当のケアマネジャーや、退院前であれば病院の医療ソーシャルワーカーに相談すると、ご本人の状態に合った探し方を一緒に考えてもらえます。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

いいえ、できません。インスリン注射は医行為にあたり、原則として医師か看護師が行います(医師の指導のもとでの本人の自己注射、または医師の指導のもとでご家族が行う場合を除きます)。介護職員は、医師の指示したタイミングでの声かけ・見守り、未使用の注射器の手渡し、片付け(針を抜いて処分する行為を除く)、記録、本人が測った血糖値が医師の指示範囲に合っているかの確認といった周辺のサポートは行えますが、注射そのものや、量を決める医学的な判断はできません。施設では実際に誰が注射を行うのかを確認してください。

A.

看護師による夜間の注射が必要な場合は、その時間帯に注射できる職員が勤務しているかがポイントです。夜間の看護師配置はすべての施設に一律に義務づけられているわけではないため、就寝前や早朝にも看護師の対応が必要なら、その時間帯に看護師が対応できる体制があるかを施設に直接確認しましょう。必要な体制はご本人の投与回数や時間帯によって変わるため、主治医とも相談しながら、各施設の回答や重要事項説明書で要確認です。

A.

ご本人が自己注射できない場合は、看護師が注射できる体制があるかが重要になります。介護職員は注射そのものを行えないため、注射が必要な時間帯に看護師が勤務しているか、夜間や急変時にどう対応するかを施設に確認してください。受け入れの可否はご本人の状態と施設の看護体制によって異なり、一律には判断できないため、各施設からの回答と最新の重要事項説明書で確認することをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

Related

あわせて読みたいガイド

医療・看護

医療対応が必要な人の老人ホーム選び|胃ろう・喀痰吸引・夜間の体制を確認するポイント

胃ろう・喀痰吸引・夜間の医療など、医療対応が必要な方の老人ホーム選び。施設類型ごとの看護・医療体制の前提と、同じ類型でも施設ごとに違う対応可否を見極める確認ポイントを、やさしく解説します。最新の対応可否・費用は施設と主治医への確認が前提です。

医療・看護

看護師がいる老人ホームの選び方|夜間・医療的ケアまで確認する観点

「看護師がいる老人ホーム」と一口に言っても、日中だけか夜間も連絡が取れるかで体制は大きく異なります。施設種別ごとの看護配置の考え方、24時間配置とオンコールの違い、必要な医療的ケアの確認方法を、家族の施設探しの視点で整理します。

医療・看護

看取り対応できる老人ホーム|最期まで過ごすために確認すること

「この施設で最期まで過ごせるか」を知りたい家族へ。看取り対応の可否は施設の方針と体制で決まります。重要事項説明書・看取りに関する指針の読み方、施設種別ごとの傾向、医療的ケアの考え方、人生会議(ACP)まで、見学前に確認したい点を寄り添って整理します。

医療・看護

胃ろう対応できる老人ホームの探し方|看護体制と確認ポイント

胃ろう(経管栄養)があっても入れる施設はありますが「施設なら必ず対応可」ではありません。誰がケアできるのか、看護体制や夜間対応をどう確認するか、問い合わせ時のチェックポイントを、寄り添ってわかりやすく整理します。

FREE CONDITION CHECK

ガイドの内容をもとに、条件を選んで施設を探せます

AIコンシェルジュは準備中です。 公開までは、検索での絞り込みと、各施設ページからの問い合わせをご利用ください。

施設を探す気になる施設へ直接問い合わせ
事業者向け掲載・情報更新