メインコンテンツにスキップ
介護しせつさーち
配置医師(嘱託医)と協力医療機関の違い|特養の医師体制と夜間・入院の確認ポイントを表すイラスト医療・看護

配置医師(嘱託医)と協力医療機関の違い|特養の医師体制と夜間・入院の確認ポイント

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年10月9日

配置医師と嘱託医は、多くの場合同じ医師を指す呼び方の違いです。特養の配置医師は非常勤が中心で、急変や入院を外部で受け持つのが協力医療機関です。施設の種類ごとの医師の置き方、配置医師の診察と外部受診の扱い、夜間・救急・入院の流れの確かめ方を整理します。

01「協力医療機関」とは? 配置医師との違いをやさしく整理

協力医療機関とは、入所者の体調が急に変わったときに備えて、施設があらかじめ連携先として定めておく医療機関のことです。指定介護老人福祉施設(特養)などの施設サービスでは、運営基準(厚生労働省令)で「あらかじめ協力医療機関を定めておく」ことが規定されています。条文の詳しい内容は改正されることがあるため、最新の規定は一次情報(e-Gov法令検索)で確認してください。

よく混同されるのが、施設に置かれる配置医師(嘱託医)との違いです。配置医師は、施設の中で定期的に健康管理や診察を担う医師を指します。一方、協力医療機関は、配置医師だけでは対応しきれない急変・入院などの場面で外部の病院・診療所がバックアップする仕組みです。両者は役割が違い、どちらも入所後の安心に関わります。

そのため施設を比べるときは、協力医療機関の「名前」だけを見て終わりにせず、配置医師がどこまで対応し、どこからが協力医療機関に引き継がれるのかという役割分担を確認しておくと、いざというときの動きがイメージしやすくなります。確認の場としては、見学時の質問や重要事項説明書が中心になります。胃ろうや喀痰吸引など医療的ケアが必要な場合は、医療対応が必要な人の老人ホーム選びもあわせて確認しておくと、施設全体の体制を把握しやすくなります。

02配置医師と嘱託医は違う? 多くは同じ医師を指す呼び方の違い

多くの場合、配置医師と嘱託医は同じ医師を指します。「配置医師」は制度上の呼び方で、「嘱託医」は施設と非常勤の嘱託契約を結んで通う働き方から来た呼び方です。

特養の運営基準(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第12条)は、医師を「入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数」置くこととしています。常勤であることや人数の下限は書かれていません。診療報酬の取り扱いを定めた厚生労働省の通知「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(最終改正は令和6年3月27日付け保医発0327第9号)では、こうして施設に配置されている医師を「配置医師」と呼んでいます。

実際の勤務は非常勤が中心です。令和2年度の老人保健健康増進等事業の調査(2021年12月の規制改革推進会議 医療・介護ワーキング・グループの資料に掲載)では、特養1施設あたりの配置医師は1名が63.5%、2名が19.4%で、大部分が非常勤とされています。契約上責任を持つ時間の平均は月22.3時間、実際に施設で勤務した時間の平均は月12.3時間でした。外部の病院や診療所の医師が施設と契約して回診に来る形があるため、施設の案内では「嘱託医」と書かれていることもあります。

家族として確かめたいのは、呼び方より中身です。見学では「配置医師(嘱託医)は週に何回、何曜日の何時ごろ来ますか」「来ない日に体調が変わったら、誰が医師に連絡しますか」と聞くと、日中と夜間の動きがつかめます。

施設の種類によって、運営基準上の医師の置き方も違います。

施設の種類運営基準上の医師急変・入院への備え
特別養護老人ホーム(特養)健康管理と療養上の指導に必要な数(配置医師)。常勤の定めはない協力医療機関を定める
介護老人保健施設(老健)常勤換算で入所者100人につき1人以上協力医療機関を定める
介護付き有料老人ホーム(特定施設)人員基準に医師は含まれない協力医療機関や訪問診療で対応

老健と介護医療院も含めて、医療の必要度から施設を比べたい場合は、介護医療院・老健・特養の違いで整理しています。

03配置医師の診察と外部の医師の受診は、扱いがどう違う?

特養などで配置医師が行うふだんの診察は、介護報酬で評価されているため、初診料・再診料・往診料を医療保険では算定しません。外部の医師が施設で診察して算定できるのは、専門外の病気で配置医師が求めた場合や、緊急時に施設が求めた場合などです。

前述の通知は、配置医師が入所者に行った診療(特別の必要があって行う診療を除く)について、介護報酬などで評価されているため初診料・再診料・往診料などを算定できないとしています。一方、配置医師ではない医師については、次の2つの場合に初診料・再診料・往診料や検査・処置などを算定できると整理しています。

  • 病気が配置医師の専門外で、入所者や家族の求めなどを踏まえ、配置医師が医学的な判断で外部の医師を求めた場合
  • 緊急の場合で、施設の管理者の求めに応じて診察した場合

この取り扱いは特養やショートステイ(短期入所生活介護)などが対象で、有料老人ホームやサ高住には当てはまりません。家族の生活に関わるのは、入居前から通っているかかりつけ医との関係です。持病の専門医に入居後も診てもらいたい場合は、配置医師がどこまで診て、どんなときに外部の医療機関につなぐのかを、入居前の面談で確かめておきます。通院が続く場合は付き添いを誰がするかも決めておく必要があり、確認の観点は通院の付き添いの確認ポイントにまとめています。

夜間については、同じ調査で、配置医師が早朝・夜間・深夜に駆けつけた場合の「配置医師緊急時対応加算」を算定している施設は7.7%にとどまり、算定しない理由として「配置医師が必ずしもかけつけ対応ができないため」(44.4%)、「緊急時はすべて救急搬送で対応するため」(25.4%)が挙がっています(調査時点は2020年度)。夜間に看護職員や医師へどう連絡が回るかは、夜間の医療対応とオンコール体制で確認の手順を整理しています。

042024年度改定で求められる体制と、2027年4月に向けた現状

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で、特養・老健・介護医療院などの施設サービスが確保すべき協力医療機関の体制が、運営基準として整理されました。具体的には、(1) 入所者の病状が急変した場合などに、医師または看護職員が相談に応じる体制を常時確保、(2) 診療の求めがあったときに診療を行う体制を常時確保、(3) 入院が必要と認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保(この入院を受け入れる体制を満たす協力医療機関は病院とされています)、という3つの体制です。

この基準には経過措置が設けられており、報道や厚生労働省の資料では2027年4月1日(令和9年4月1日)から義務化され、それまでは努力義務にあたる扱いとされています。厚生労働省は「期限を待たず可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい」としています。制度の詳細や時期は見直されることもあるため、最新情報は厚生労働省・自治体の公表資料で確認してください。

なお、ここで求められているのは「常に往診できる体制」までではなく、診療の求めがあったときに外来も含めて診療できる体制でよい、と整理されています。つまり「協力医療機関があるから必ず往診に来てくれる」とは限りません。家族としては、制度上の体制が整っているかどうかだけでなく、「実際に夜間や休日にどう動くのか」を施設に具体的に尋ねることが大切です。

05施設に必ず聞きたいこと:夜間・休日の相談、診療、救急搬送、入院の流れ

制度の説明だけでは、いざというときに自分の家族がどう守られるのかは見えてきません。そこで、見学や面談のときに次のような具体的な場面を施設に尋ねてみてください。

  • 平日の日中に体調が変わったとき:まず誰が判断し、配置医師・協力医療機関のどちらにつなぐのか。
  • 夜間や休日に急変したとき:看護職員はいるのか、いないときは誰に連絡が回り、医師の相談・診療にどうつながるのか。
  • 救急搬送が必要なとき:救急車を呼ぶ判断は誰がするのか、家族への連絡はどのタイミングか。
  • 入院が必要になったとき:協力医療機関がそのまま受け入れるのか、別の病院を探すことになるのか。

こうした流れは施設ごとに違います。「協力医療機関あり」と書いてあっても、緊急時に実際に動ける体制かどうかは施設によって差があり得ます。夜間・休日の緊急対応のあり方は施設ごとに異なるため、こうした体制づくりが基準整理の背景の一つとされています。具体的な流れを言葉で説明してもらえるかが、任せられる施設かどうかを見分ける手がかりになります。

06協力医療機関の「見方」チェックリスト:診療科・距離・歯科・更新

協力医療機関を確認するときは、名称を控えるだけでなく、次のような観点で見ていくと比較しやすくなります。

  • 診療科:本人の持病(循環器・呼吸器・整形外科・精神科など)に合った診療科があるか。複数の医療機関と連携している施設もあります。
  • 距離・アクセス:施設から近いか。搬送や通院のしやすさに関わります。ただし近さだけでなく、対応の内容とあわせて見ます。
  • 歯科の連携:誤嚥や口腔ケアの観点で、協力歯科医療機関との連携があるかも確認しておきたい点です。歯科の連携は努力義務とされ、入院受け入れまで含む医科の体制とは扱いが異なるとされています。
  • 連携内容の更新:協力医療機関は固定ではなく見直されることがあります。重要事項説明書の情報がいつ時点のものか、最新かを確認しましょう。

これらは、施設の重要事項説明書や見学時の質問で確認するのが基本です。あわせて、介護サービス情報公表システム(kaigokensaku.mhlw.go.jp)では全国の事業所の基本情報・運営情報を見られるため、候補施設の情報を客観的に照らし合わせる手がかりになります。記載内容や最新の連携状況は、最終的に施設・自治体への確認が必要です。

07本人の医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養など)に対応できるかを確認する

協力医療機関の体制とあわせて確認したいのが、ご本人が必要としている医療的ケアに、その施設の看護・介護体制が対応できるかです。これは協力医療機関の有無とは別の問題なので、分けて考える必要があります。

たとえば喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部のたんの吸引)や経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)は、医療に関わる行為です。これらを介護職員が行えるのは、所定の研修を修了して都道府県の認定を受けた介護職員(認定特定行為業務従事者)が、登録された事業者のもとで、医師の指示と看護職員との連携の下で行う、と法律で定められた範囲に限られます。

つまり「介護施設だから必ず対応できる」わけではありません。施設によって、看護職員の配置時間や、たん吸引・経管栄養に対応できる職員がいるかは異なります。確認するときは、「今の状態を具体的に伝えたうえで、夜間も含めて対応できるか」を施設に尋ねるのが確実です。たん吸引対応できる老人ホームの探し方で確認ポイントを詳しく整理していますので、あわせて参考にしてください。なお、施設への入所だけでなく、自宅で医療的ケアを受けながら暮らし続ける道として看護小規模多機能型居宅介護(看多機)のような「通い・泊まり・訪問看護」を組み合わせるサービスを選択肢に加えるご家族もあります。対応の可否は施設の体制によって変わるため、重要事項説明書と施設への直接確認で、最新の状況を必ず確かめてください。

08費用・対応可否は断定しない:重要事項説明書と公表システムでの確かめ方

医療体制は施設選びの安心に直結しますが、費用や対応可否を一覧の情報だけで決めつけないことが大切です。協力医療機関の有無や名称、看護体制、医療的ケアへの対応は施設ごとに異なり、時期によっても変わります。

確認の中心になるのは、次の2つです。

  • 重要事項説明書:協力医療機関の名称、配置医師・看護体制、医療連携の内容などが記載されている場合があります。契約前に内容を読み、わからない点はその場で質問しましょう。
  • 介護サービス情報公表システム:都道府県を通じて全国の事業所の基本情報・運営情報が公表されており、候補施設を客観的に比較する手がかりになります。

そのうえで、医療に関わる往診や入院の費用、夜間対応の体制などは、施設・自治体の最新の資料で必ず確認してください。制度や運用は見直されることがあるため、ここで紹介した内容も含め、最終的には公的情報と施設の説明で最新の状態を確かめてください。重要事項説明書の読み方全般は老人ホーム契約前に確認することで詳しく解説していますので、契約前にあわせてご確認ください。判断に迷うときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターが相談先になります。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

必ずとは言えません。2024年度改定で求められる体制でも「常に往診できる体制」までは求められておらず、診療の求めがあったときに外来も含めて診療できる体制でよいと整理されています。実際の動き方は施設ごとに異なるため、夜間・休日の相談、診療、救急搬送、入院の流れを施設に具体的に確認することが大切です。

A.

配置医師と嘱託医は、多くの場合同じ医師を指す呼び方の違いです。配置医師(嘱託医)は施設の中で定期的な健康管理や診察を担い、協力医療機関は急変・入院など外部の対応が必要な場面で連携する医療機関です。役割が異なるため、どちらも確認しておくと安心です。配置医師がどこまで対応し、どこから協力医療機関に引き継がれるかという役割分担を、重要事項説明書や見学時に尋ねるとよいでしょう。

A.

主に施設の重要事項説明書に記載されている場合があります。あわせて、介護サービス情報公表システム(kaigokensaku.mhlw.go.jp)で全国の事業所の基本情報・運営情報を確認できます。ただし連携状況は変わることがあるため、最新の内容は施設・自治体への直接確認が必要です。

A.

診てもらえなくなるとは限りません。ただし特養などでは、ふだんの診察は配置医師(嘱託医)が担い、外部の医師が施設で診察して医療保険で算定できるのは、専門外の病気で配置医師が求めた場合や緊急時などに整理されています。持病の専門医に入居後も通いたい場合は、配置医師との役割分担と通院の付き添いを入居前に施設へ確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

Related

あわせて読みたいガイド

医療・看護

医療対応が必要な人の老人ホーム選び|胃ろう・喀痰吸引・夜間の体制を確認するポイント

胃ろう・喀痰吸引・夜間の医療など、医療対応が必要な方の老人ホーム選び。施設類型ごとの看護・医療体制の前提と、同じ類型でも施設ごとに違う対応可否を見極める確認ポイントを、やさしく解説します。最新の対応可否・費用は施設と主治医への確認が前提です。

施設種別

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは|小多機との違いと選び方

看護小規模多機能型居宅介護(看多機・かんたき)は「通い・泊まり・訪問介護・訪問看護」を一つの事業所で組み合わせる地域密着型サービスです。対象者や費用の仕組み、小規模多機能との違い、事業所選びで確認したい点をやさしく解説します。

医療・看護

夜間の医療対応を確認する方法

夜間の急変が不安なとき、施設で誰がどう対応してくれるかを確認する観点を整理します。夜勤の配置・看護職員の有無・協力医療機関・救急搬送を、重要事項説明書と公的システムでどう確かめるかをやさしく解説します。

医療・看護

服薬管理を任せられる老人ホームの選び方

老人ホームで薬の管理を誰がどこまで担えるかを一次情報で整理。一包化された内服の介助は条件付きで介護職員も可、インスリン注射やたん吸引は別枠。施設探しで確認したい看護体制・夜間対応・誤薬防止の見方をやさしく解説します。

SEARCH & COMPARE

ガイドの内容をもとに、条件を選んで施設を探せます

希望する地域、入居時期、必要な対応を整理して、掲載施設を探せます。

施設を探す掲載情報・問い合わせ方法を確認
事業者向け掲載・情報更新