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感染症がある場合の受け入れ確認|施設探しで確かめることを表すイラスト医療・看護

感染症がある場合の受け入れ確認|施設探しで確かめること

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

感染症があると施設に入れない?結論は一律不可ではありません。感染症は種類で扱いが大きく違い、提供拒否の禁止という制度もあります。施設・主治医・自治体に何を確認するか、断られたときの相談先まで、家族の目線で整理します。

01まず結論:感染症がある=一律に入れない、ではありません

「持病に加えて感染症があると、もう施設には入れないのでは」——そう不安に感じているご家族は少なくありません。まずお伝えしたいのは、感染症があるからといって一律に入居できないわけではない、ということです。

特別養護老人ホーム(特養)などの指定介護老人福祉施設には、「提供拒否の禁止」という考え方が定められています。厚生労働省の運営基準(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第4条の2)では、施設は「正当な理由なく指定介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない」とされています。解釈通知(老企第43号)では、特に要介護度や所得の多寡を理由に拒否することは禁止されると示されています。

では「正当な理由」とは何かというと、同じ解釈通知では「入院治療の必要がある場合その他入所者に対し自ら適切な指定介護福祉施設サービスを提供することが困難な場合」と限定的に示されています。つまり、その施設の体制で安全なケアが難しい客観的な事情があるときに限られる、という考え方です。

ただし、これは特養を中心とした基準であり、有料老人ホームやサ高住など施設種別ごとに事情は異なります。施設探しでは「うちは感染症があると一律でお断り」という説明をうのみにせず、なぜ難しいのか(体制上の理由か)を具体的に聞くことが出発点になります。

02感染症は「種類」で扱いが大きく違う

ひとくちに感染症といっても、施設での扱いは種類によって大きく異なります。厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版(2019年3月)」では、あらかじめ対応策を検討しておくべき主な感染症を大きく3つに整理しています。

1つ目は、入所者・職員にも感染が起こり、集団感染を起こす可能性がある感染症。インフルエンザ、感染性胃腸炎(ノロウイルス等)、疥癬、結核などが挙げられています。2つ目は、健康な人には感染を起こすことは少ないものの、感染抵抗性が低下した人に発生する感染症。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症)や緑膿菌などの薬剤耐性菌による感染症がこれにあたります。3つ目は、血液・体液を介して感染する感染症で、基本的には集団感染に発展する可能性が少ないとされる肝炎(B型・C型)などです。

この分類が示すのは、「感染症がある=危険」と一括りにはできない、ということです。同じマニュアルでは、標準予防策(スタンダード・プリコーション。感染源の有無にかかわらず血液・体液等を感染の可能性があるものとして扱う基本的な考え方)の徹底が基本とされており、多くの施設はこの考え方で日常的にケアを行っています。

施設探しでは、ご本人の感染症が上記のどのタイプにあたるのかを主治医に確認したうえで、施設に「この感染症の方の受け入れ実績や、感染対策の指針があるか」を尋ねると話が具体的になります。なお感染症法など個別の制度判断が絡むケースもあるため、最終的な可否は施設・自治体・主治医への確認が必要です。

03結核・排菌の有無は主治医情報がカギ

感染症のなかでも、結核は特に丁寧な確認が必要です。前述のマニュアルでも、結核は集団感染を起こしうる感染症として挙げられています。

一方で、同じマニュアルには「入所予定者に対して、結核の既往や薬剤耐性菌の保菌等を理由に入所を断ってはいけません」という趣旨の記載があります。つまり、過去にかかった事実や保菌しているという事実そのものを理由に一律で断ることは想定されていません。問われるのは、現在の状態です。

ここでポイントになるのが「排菌(菌を体外に出している状態)の有無」です。一般に、排菌している活動性の状態では、感染症法に基づく入院などの対象となり、その時点では介護施設での受け入れが難しい場合があります。一方で、治療が進み排菌していないことが確認できれば、状況は変わりうると考えられます。ただし、この線引きや入院の要否は感染症法上の専門的な判断であり、ここで断定はできません。必ず主治医および保健所・自治体に確認してください。

施設探しで用意しておきたいのは、主治医による診療情報提供書や、排菌・症状の有無、感染対策上の注意点をまとめた医療情報です。施設側も、この情報がないと判断のしようがありません。「既往があるから」と諦める前に、まず現在の状態を主治医に文書で示してもらうことが、受け入れ相談を前に進める近道になります。

04喀痰吸引・経管栄養がある場合は「医療体制」を確認

感染症と並んで受け入れ可否を左右しやすいのが、喀痰吸引(たんの吸引)や経管栄養(胃ろう等)といった医療的ケアの有無です。これらは介護ではなく医療的ケアにあたり、誰でも実施できるわけではない点に注意が必要です。胃ろうや夜間の医療体制まで含めた医療対応が必要な人の老人ホーム選び全般については、あわせて確認しておくと施設選びの見通しが立てやすくなります。

厚生労働省の制度(社会福祉士及び介護福祉士法の改正に基づく仕組み)では、介護職員等がたんの吸引・経管栄養を行うには、(1)喀痰吸引等研修の修了、(2)認定特定行為業務従事者認定証の交付、(3)所属事業所の登録特定行為事業者としての登録、が必要とされています。さらに、実施にあたっては医師の指示と、看護職員・介護職員の連携体制が前提になります。

つまり、同じ医療的ケアでも、研修を修了した職員がいるか、看護師がどの時間帯にいるか(日中のみか、夜間や24時間か)によって、対応できる施設とできない施設が分かれます。これは「施設だから必ず対応できる」ものではありません。

施設探しでは、(1)必要な医療的ケアの具体名を伝えたうえで対応可否を確認、(2)看護師の配置時間帯、(3)夜間や急変時の医療連携(協力医療機関・往診・訪問看護など)を確認しましょう。とくにたん吸引の対応可否を探す場合は看護体制の確認ポイントが具体的に整理されているので参考になります。これらは施設ごとに大きく異なるため、パンフレットの一般的な記載ではなく、重要事項説明書や担当者への直接確認で、ご本人のケアに即して確かめることが大切です。

05断られたとき・迷ったときの相談先

感染症や医療的ケアを理由に受け入れを断られると、「もう行き場がないのでは」と落ち込んでしまうかもしれません。けれど、1つの施設の回答がすべてではありません。

まず確認したいのは、断られた理由が「正当な理由」にあたるのか、という点です。前述のとおり、特養などでは要介護度や所得を理由とした拒否は禁止されており、拒否できるのは入院治療が必要な場合など、その施設で適切なケアが困難な客観的事情があるときに限られると解釈されています。施設の体制(看護配置や研修修了者の有無)の問題であれば、別の体制を持つ施設なら受け入れられる可能性があります。

次の一手として、地域の相談窓口を活用してください。ケアマネジャー(担当の介護支援専門員)、地域包括支援センター、自治体の介護保険担当窓口は、ご本人の状態に合った施設種別や、医療連携の手厚い施設の情報を持っています。主治医にも、どの程度の医療体制が必要かを相談しておくと、施設選びの軸が定まります。

感染症や費用、制度の細かな条件は時期や自治体によって変わるため、最新情報は自治体・施設の重要事項説明書や担当者に必ず確認してください。一人で抱え込まず、専門職に「何を確認すればよいか」から相談するのが、納得のいく施設探しの第一歩です。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

保菌や既往があるというだけで一律に入れないわけではありません。厚生労働省の感染対策マニュアルでは、肝炎(B型・C型)は血液・体液を介する感染症で基本的に集団感染に発展する可能性が少ないとされ、MRSAは薬剤耐性菌として標準予防策で対応する対象に整理されています。同マニュアルには、薬剤耐性菌の保菌等を理由に入所を断ってはいけない趣旨の記載もあります。多くの施設は標準予防策を前提にケアを行っています。ただし受け入れ可否は施設の体制によるため、その感染症の受け入れ実績や感染対策の指針があるかを施設に、注意点を主治医に確認してください。

A.

過去にかかった事実そのものよりも、現在の状態(排菌や症状の有無)が問われます。厚生労働省の感染対策マニュアルにも、結核の既往を理由に入所を断ってはいけない趣旨の記載があります。一方、排菌している活動性の状態では感染症法上の入院対象となる場合があり、その時点では施設での受け入れが難しいことがありますが、治療を終え排菌がないと確認できれば状況は変わりうると考えられます。線引きは専門的な判断のため、主治医による診療情報提供書で現在の状態を示してもらい、必要に応じて保健所・自治体にも確認することをおすすめします。

A.

あります。ただし、これらは医療的ケアにあたり、喀痰吸引等研修を修了し認定を受けた職員や、看護職員との連携体制が必要です。医師の指示も前提となります。看護師の配置時間帯(日中のみか、夜間・24時間か)や夜間・急変時の医療連携によって対応できる施設は分かれるため、必要なケアの具体名を伝えて対応可否と医療体制を、重要事項説明書や担当者に直接確認しましょう。「施設だから必ず対応できる」とは限らない点に注意が必要です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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