メインコンテンツにスキップ
介護しせつさーち
見学後に比較表を作る方法|重要事項説明書と公的データで客観的に並べるを表すイラスト探し方

見学後に比較表を作る方法|重要事項説明書と公的データで客観的に並べる

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

見学後に施設を客観的に比べるための比較表の作り方を、家族向けにやさしく解説。重要事項説明書の標準様式の項目を列にし、介護サービス情報公表システムで裏取りする手順、費用と職員体制の見方、最終判断への重みづけまでをまとめます。数字や制度の詳細は最新の様式・施設へのご確認を前提にしています。

01なぜ「印象」だけでは比べられないのか

相談や要介護認定から始めて候補となる施設をいくつか見学すると、「あそこは雰囲気がよかった」「ここはスタッフさんが優しかった」と、印象だけが記憶に残りがちです(見学で雰囲気や人との相性を見極めるポイントは別記事で扱っています)。けれど印象は、訪れた時間帯やたまたま会った職員によって左右されます。最後に見た施設ほどよく見える、ということも起こります。

そこでおすすめしたいのが、見学のあとに比較表を作ることです。比較表とは、施設ごとにバラバラだった情報を、同じ「軸(評価する項目)」で横に並べ直す表のこと。費用、職員体制、医療連携、居室、雰囲気――こうした項目を施設間でそろえると、感覚ではなく事実で見比べられるようになります。

ポイントは、主観(印象)と客観(事実)を分けて書くことです。「明るい雰囲気だった」は主観、「夜勤の介護職員は最少時で何人か」は客観。両方とも大切ですが、混ぜると判断がぶれます。この記事では、客観データの軸をどこから持ってくるか、それをどう裏取りするか、そして最後に家族の優先順位をどう重ねるかを、順番にご案内します。まずは表の「列」をどう決めるかから始めましょう。

02比較表の「列」は重要事項説明書からそのまま借りる

比較の軸をゼロから考える必要はありません。すでに比較の5つの軸を整理したチェックリストをお使いの場合は、それを土台にすると早いですが、より詳しく列を作りたいときは、厚生労働省が標準様式を示した重要事項説明書の項目をそのまま比較表の列に使えます。標準様式の主な項目は、おおむね次の順で並んでいます。

  1. 事業主体概要(運営する法人)
  2. 有料老人ホーム事業の概要(介護付き/住宅型/健康型などの類型)
  3. 建物概要(居室の状況、共用施設など)
  4. サービスの内容(介護の提供方法、協力医療機関など)
  5. 職員体制(職種別の職員数・常勤換算、資格を持つ介護職員の人数、夜勤を行う看護・介護職員の人数、配置比率)
  6. 利用料金(支払い方式、月額費用の内訳、代表的なプラン2例)
  7. 入居者の状況(入居者数、前年度の退去者の状況や退去先、生前解約の状況)

このほかにも、苦情・事故等に関する体制や、入居希望者への情報開示の状況などの項目が続きます。様式の冒頭には記入年月日の欄があるので、いつ時点の情報かも確認できます。なお様式は改定されることがあるため、最新の項目立ては実際に受け取った書面でご確認ください。

施設探しで実際にやることは、見学時に重要事項説明書を1部ずつもらい、上の1〜7などを表の縦軸(列)にそろえること。法令に基づきどの施設も同じ見出しで書かれるため、施設をまたいでも同じ列で並べられます。見学時に渡されなかった場合は、施設に「重要事項説明書をいただけますか」と尋ねれば大丈夫です。契約書とは別物で、一般の人にもわかるようまとめられた資料です。

施設比較表のつくり方の例。類型・職員体制・医療連携(要確認と記す)・入居時費用・月額費用・想定期間での総額・本人と家族の優先軸(重みづけ採点)を行に、施設A/B/Cを列にした雛形と、重要事項説明書の見出しを列に使う・主観と客観を分ける・公表システムで裏取りするという3つの注意点を示した図

03公的データで裏取りする — 介護サービス情報公表システム

重要事項説明書は施設が作る資料なので、第三者が運営する公的データと照らし合わせると安心です。そこで使えるのが、国が運営する介護サービス情報公表システム( https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/ )です。

これは介護保険法(第115条の35〜44)に基づき、利用者が事業所・施設を比較・検討して選べるよう、都道府県が情報を提供する仕組みで、平成18年4月から始まりました。インターネットで誰でも、いつでも閲覧できます。公式サイトには全国約21万か所の事業所が掲載されていると案内されています(最新の掲載数はサイトでご確認ください)。

公表される情報は大きく二つです。基本情報には、事業所の名称・所在地、従業者に関する情報、提供サービスの内容、利用料、法人情報など。運営情報には、利用者の権利擁護の取組、サービスの質の確保への取組、相談・苦情等への対応、外部機関等との連携、安全・衛生管理の体制、従業者の研修の状況などが含まれます。

施設探しで実際にやることは、比較表に載せた施設名でこのシステムを検索し、重要事項説明書の内容(職員数や類型など)と食い違いがないかを確かめること。研修や苦情対応の取組といった、見学だけでは見えにくい「運営の姿勢」も、ここで横並びに確認できます。気になる差があれば、次の見学や電話で施設に直接質問する材料になります。

04職員体制・夜勤・医療連携の読み方と「要確認」の線引き

比較表で迷いやすいのが職員体制です。前提として、介護付き(特定施設入居者生活介護の指定を受けたホーム)と住宅型では仕組みが違います。介護付きはホームが介護を直接提供し、人員に関する基準が定められています。一方、住宅型はそうした人員基準が前提にならず、介護が必要になると外部の事業所と個別に契約して利用する形が基本です。

介護付き(特定施設)には、看護・介護職員を要介護者おおむね3人につき1人(常勤換算)配置するといった基準があるとされています。看護職員や生活相談員、機能訓練指導員、計画作成担当者の配置、夜間帯の職員についても基準が示されています。ただしこれは制度上の最低限の目安であり、施設ごとの実際の手厚さは異なります。実際の配置は、重要事項説明書の「職員体制」欄(職員数・常勤換算・夜勤を行う看護・介護職員の人数・配置比率)で確認するのが確実です。最新の基準の詳細は厚生労働省や自治体の情報でご確認ください。

ここで大切なのが医療的ケアの線引きです。喀痰吸引(たんの吸引)や経管栄養(胃ろうなど)は医療に関わる行為で、対応できるかは施設の看護体制や、研修を修了した職員の有無によって変わります。「施設なら必ず対応できる」とは限りません。 インスリン注射や夜間の医療対応なども同様です。比較表には「医療連携」の列を設け、対応の可否は断定せず「施設へ要確認」と書いておき、必ず施設・主治医に確認してください。協力医療機関は重要事項説明書の「サービスの内容」欄に記載があります。

05費用は「月額だけ」で決めず、総額×期間で並べる

費用は比較表でいちばん差が出やすく、いちばん誤解しやすい項目です。月額の数字だけを横に並べると、安く見える施設が本当に安いとは限りません。

重要事項説明書の「利用料金」欄には、支払い方式(全額前払い/一部前払い・一部月払い/月払い/選択方式)、月額費用の内訳(家賃、食費、管理費、光熱水費など)、そして代表的なプラン2例が記載されています。前払金がある場合は、想定居住期間(償却年月数)や初期償却率、返還金の算定方法も様式に欄があります。これらを見ずに月額だけで比べると、入居時の前払金の重さを見落とします。

施設探しで実際にやることは、比較表に「入居時費用」と「月額費用」の両方の行を作り、できれば想定する入居期間で総額を試算して並べること。月額には含まれない費用(おむつ代、医療費、外部の介護保険サービスの自己負担など)も別の行にメモしておきます。

なお、費用の相場や個別施設の最終的な金額をこの表で断定するのは避けてください。料金は改定されることがあり、最新の金額は施設の料金表・重要事項説明書、自治体の窓口で確認が必要です。介護保険の自己負担割合や負担軽減の制度も人によって異なるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターにも相談しながら詰めると安心です。

06最後に「本人の暮らし」を重ねて判断する

客観データの列がそろったら、最後に家族と本人の優先順位を表に重ねます。事実だけでは「どれも条件は近いけれど、決め手がない」という状態になりがちだからです。

おすすめは、優先する項目に重みづけをする方法です。たとえば「本人が続けたい趣味ができるか」「面会に通いやすい場所か」「夜間の見守りの手厚さ」「居室の個室・トイレの有無」など、ご家庭で大事にしたい軸を3〜5個選び、それぞれを5点満点などで採点します。すべてを同じ重さにせず、本人にとって特に大切な項目は点数を厚くすると、判断が本人の暮らしに寄ります。

このとき、口コミや評判は参考程度にとどめ、表の客観データと食い違う場合は施設に直接確認しましょう。個人が特定されるような評価をそのまま判断材料にするのは避けたほうが無難です。

比較表が完成したら、見学で持ち帰るものを最終チェックします。重要事項説明書、料金表(最新のもの)、パンフレット、そして気になった点のメモ。パンフレットで確認すべき項目と裏取りの仕方もあわせて見ておくと、資料の見落としを防げます。これらがそろっていれば、家族で集まって落ち着いて見比べられます。迷いが残る項目は無理に埋めず「施設・自治体へ要確認」と書いておき、次のアクションにつなげてください。最終的に決めるのは表ではなく、本人と家族の納得です。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

有料老人ホームの重要事項説明書の標準様式の項目をそのまま列にするのが確実です。主な項目は(1)運営する法人(2)類型(介護付き/住宅型/健康型)(3)建物・居室の状況(4)サービス内容と協力医療機関(5)職員体制(職員数・常勤換算・資格者数・夜勤人数・配置比率)(6)利用料金(支払い方式・月額内訳・代表プラン)(7)入居者の状況(退去者の状況など)です。このほか苦情・事故対応や情報開示の項目も続きます。どの施設も同じ見出しで書かれるため横並びに比べられます。様式は改定されることがあるため最新の書面でご確認ください。

A.

月額だけだと、入居時の前払金(一時金)の重さを見落とすためです。重要事項説明書の利用料金欄には支払い方式・月額の内訳・代表的なプランが載っています。比較表には「入居時費用」と「月額費用」の両方の行を作り、想定する入居期間で総額を試算して並べると公平に比べられます。料金は改定されることがあるため、最終的な金額は施設の最新の料金表・重要事項説明書や自治体の窓口で確認が必要です。

A.

国が運営する「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/) があります。介護保険法に基づく仕組みで、全国の事業所の基本情報(名称・所在地・サービス内容・利用料・法人情報など)と運営情報(権利擁護や苦情対応の取組、研修状況など)を誰でも閲覧できます。重要事項説明書の内容と食い違いがないかの確認や、見学だけでは見えにくい運営の姿勢の比較に役立ちます。最新の掲載数や項目はサイトでご確認ください。

A.

いいえ、施設なら必ず対応できるとは限りません。喀痰吸引(たんの吸引)や経管栄養(胃ろう)などは医療に関わる行為で、対応できるかは施設の看護体制や、研修を修了した職員がいるかによって変わります。また介護付きと住宅型では介護の提供の仕組みも異なります。比較表では対応の可否を断定せず「施設へ要確認」と書き、必ず施設と主治医に確認してください。協力医療機関は重要事項説明書のサービス内容欄で確認できます。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

Related

あわせて読みたいガイド

探し方

老人ホーム探しの始め方|まず相談と要介護認定から

老人ホーム探しは施設を直接探す前に、地域包括支援センターへの相談と要介護認定の申請から。公的窓口の使い方、認定の流れ、施設種別の見方、契約前に確認することまで、最初の一歩をやさしく解説します。

探し方

老人ホームを比較するときのチェックリスト|5つの軸と確認すべき書類

老人ホームを比べる前に押さえたい5つの軸(施設種別と入居条件・職員体制・医療と看取り・費用と返金・立地と運営方針)を、確認すべき書類とあわせてやさしく整理したチェックリストです。費用や対応可否は施設・自治体の最新情報で確認しましょう。

探し方

施設写真を見るときのポイント

老人ホームの施設写真は「当たりをつける」ための材料です。居室・水まわり・共用部・安全面のどこを見るか、写真でわかること・わからないことを整理し、重要事項説明書や見学で何を確認すべきかまで、寄り添ってご案内します。

費用

高額介護サービス費とは|自己負担を抑える仕組みと申請

高額介護サービス費は、1か月の介護保険の自己負担が所得区分ごとの上限を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。対象となる費用・対象外の費用、上限額の考え方、申請方法、施設探しでの確認点を、ご家族向けにやさしく解説します。

FREE CONDITION CHECK

ガイドの内容をもとに、条件を選んで施設を探せます

AIコンシェルジュは準備中です。 公開までは、検索での絞り込みと、各施設ページからの問い合わせをご利用ください。

施設を探す気になる施設へ直接問い合わせ
事業者向け掲載・情報更新