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身元保証人がいない場合の入居|公的見解と相談先を表すイラスト入居条件

身元保証人がいない場合の入居|公的見解と相談先

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

身元保証人がいないと老人ホームに入れないのでは、と不安な方へ。身元保証人等がいないことのみを理由とした入院・入所の拒否は適切でないとする公的見解、成年後見制度や終身サポート事業者などの選択肢、施設探しで確認したいことをやさしく整理します。

01まず知ってほしいこと:保証人がいないだけで諦めなくてよい

「身元保証人を頼める家族や親族がいない。だから老人ホームには入れないのでは」――ひとり暮らしの方や、ご本人に代わって探しているご家族から、よく聞かれる不安です。まず知っておいていただきたいのは、身元保証人等がいないことだけを理由に、入院や入所を断るのは適切ではないという公的な見解が示されている、ということです。

医療機関については、厚生労働省が平成30年(2018年)4月27日の医政局医事課長通知で、入院が必要な患者に対し、身元保証人等がいないことのみを理由に入院を拒否することは医師法第19条第1項(医師の応召義務)に違反するとの考え方を示しています。

介護保険施設についても、厚生労働省老健局が平成30年8月30日の通知で、介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、各施設の基準省令で正当な理由なくサービス提供を拒否できないとされている中で、身元保証人等がいないことは拒否の正当な理由には該当しない、と整理しています。あわせて、都道府県等が、保証人がいないことのみを理由に入所を拒んだり退所を求めたりする不適切な取扱いがないよう指導・監督するよう求めています。

ただし注意したいのは、これは「保証人がいなくても必ず入居できる」という意味ではない、という点です。要介護度・空き状況・医療対応など、別の事情で入居できないことはあります。あくまで「保証人がいないことだけを理由に断るのは適切でない」という整理だと理解してください。

02そもそも施設が「保証人」に求めている役割を分けて考える

保証人の話を整理するときに大切なのは、「保証人」という言葉ひとつに、実はいくつもの役割が混ざっていることに気づくことです。施設や病院が「身元保証等」として求める役割は、公的なガイドラインでおおむね次のように整理されています。

  • 緊急時の連絡先
  • 入院費・施設利用料の支払いに関すること
  • 退所・退院時の対応(居室の明け渡し、退所支援など)
  • ケアプランや入院計画への同意
  • 入院中に必要な物品の準備などの事実行為
  • 医療行為への同意(ただし後述のとおり論点があります)
  • 亡くなった後の遺体・遺品の引き取り、葬儀等

こうして分けてみると、「頼める人がいない」と一口に言っても、どの役割が埋められないのかは人によって違うことが分かります。緊急連絡先だけなら知人や民生委員に相談できる場合もありますし、お金や死後の対応は次の章で触れる制度・サービスで補える場合もあります。

施設探しでは、契約書や重要事項説明書(※施設の運営方針・サービス・費用などを記した書類)の「身元引受人」「身元保証人」「連帯保証人」という欄が、具体的にどの役割を指しているのかを施設に直接確認することが第一歩です。役割の呼び方と中身の関係は施設ごとに異なるため、関連ガイドの身元引受人と身元保証人の違いもあわせてご覧ください。

03頼める人がいないときの主な選択肢

身元保証人や身元引受人を頼める家族・親族がいない場合、公的な資料では次のような制度・サービスが選択肢として挙げられています。どれが合うかは状況によって異なるため、一覧として知っておくと相談がしやすくなります。

  • 成年後見制度:認知症・知的障害・精神障害などで判断能力が十分でない方の、契約や財産管理を支援する制度です。施設入所契約の締結や、本人の財産からの費用の支払いを支援できるとされています。法定後見(家庭裁判所が後見人等を選任)と任意後見(判断能力があるうちに自分で契約)があります。一方で、直接の介護・看護や、医療行為そのものへの同意は後見人等の業務に含まれているとは言えない、と公的資料では整理されており、線引きが分かりにくい部分です。利用を検討する際は、家庭裁判所・自治体の窓口や専門家への相談をおすすめします。
  • 日常生活自立支援事業:社会福祉協議会による、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理の支援です。
  • 高齢者等終身サポート事業者:身元保証等・日常生活支援・死後事務などを有償で担う民間サービスです。令和6年(2024年)6月に、内閣官房(身元保証等高齢者サポート調整チーム)等が「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定しています。

なお、これらの制度・サービスは内容も費用も変わることがあります。どれが本人の状況に合うかは、まずお住まいの地域包括支援センター(※高齢者の総合相談窓口)や自治体の窓口で相談するのが確実です。法的な権限の線引き(とくに成年後見人の業務範囲)に迷う点は、専門家への確認をおすすめします。

身元保証人がいない・頼みにくいときの相談先と選択肢。まず地域包括支援センターや自治体の窓口に相談し、成年後見制度(契約・財産管理の支援)、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業、高齢者等終身サポート事業者(契約前に範囲・費用・解約条件を確認)、施設への直接確認(保証人欄の役割と代替の可否)という選択肢をハブ&スポーク型で整理した図

04民間の身元保証サービスを使うときの注意点

「有償でも身元保証を引き受けてくれる事業者があるなら頼みたい」と考える方もいると思います。前章で触れた高齢者等終身サポート事業者などがこれにあたりますが、利用にあたっては消費者保護の観点からの注意喚起が公的機関から出ていることを知っておいてください。

国民生活センターは令和元年(2019年)5月30日に、身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルについて注意喚起しています。全国の消費生活センターには、契約内容を十分に理解できないまま高額な契約をしてしまった、解約時の返金額に納得できない、といった相談が寄せられているとされます。消費者庁も「高齢者等終身サポート事業」の利用に関する注意点を公表し、サービス内容や自身の支払能力をよく確認するよう促しています。

こうした事業者の利用が良くない、という話ではありません。ただ、契約の範囲が「身元引受」だけでなく、日常の金銭管理や死後の事務まで生涯にわたる広いものになっている場合があり、解約条件や費用も契約ごとに大きく異なるため、契約前に内容をよく確認することが大切です。

施設探しの場面では、(1)その施設が成年後見制度や終身サポート事業者の利用を認めているか、(2)事業者と契約する場合は契約書で役割の範囲・費用・解約条件を確認したか、を整理しておくと安心です。契約内容に不安があるときは、契約前に消費生活センター(消費者ホットライン188)や地域包括支援センター、必要に応じて弁護士など専門家に相談することをおすすめします。

05誤解しやすい「医療行為への同意」のこと

保証人や成年後見人がいれば「手術の同意もしてもらえる」と思われがちですが、ここは慎重に理解しておきたいポイントです。

厚生労働省の研究班(山縣班)のガイドラインは、本人以外の第三者による医療の決定・同意について法令等で定められた一般的なルールはないとしたうえで、成年後見人等の第三者が医療に係る意思決定・同意ができるとする規定はなく、医療に係る決定・同意を行うことは後見人等の業務に含まれているとは言えないと整理しています。手術や延命措置などの医療行為を選ぶ・同意する・拒む権利は、本人に固有のもの(一身専属的)とされ、他人が代わって行うことになじまない、という考え方です。

つまり、身元引受人や成年後見人になったとしても、それが自動的に「医療同意の権限を持つ」ことを意味するわけではありません。現場では家族にサインを求める運用があることもありますが、法的な同意権限の話とは区別して理解しておくと、いざというときに混乱しにくくなります。

この点は制度や解釈にかかわる微妙な領域です。ご本人の判断能力が下がってきている場合は、施設探しの段階で「医療同意が必要になったとき、この施設・連携医療機関ではどう対応するのか」を確認しておくと安心です。具体的な判断は、施設・連携医療機関や専門家への確認をおすすめします。

06施設探しで確認したいこと・相談先

最後に、身元保証人がいない・頼みにくい状況で施設を探すとき、確認しておきたいことを整理します。

1. 「保証人」の欄が指す役割を施設に確認する 緊急連絡先だけなのか、費用の支払い保証や退所・死後の対応まで含むのか。重要事項説明書と契約書で、求められる役割の範囲・人数・続柄の条件を具体的に確認しましょう。

2. 保証人がいない場合の代替を施設が認めているか確認する 成年後見制度の利用、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業、終身サポート事業者の利用など、保証人に代わる方法を施設が受け入れているかを尋ねます。前述のとおり、保証人がいないことだけを理由に断るのは適切でないとする公的見解があります。

3. 民間サービスを使うなら契約内容を必ず確認する 終身サポート事業者などを利用する場合は、契約の範囲・費用・解約条件を契約前に確認し、不安があれば消費生活センターや専門家に相談しましょう。

4. まず公的な相談窓口に相談する 何から手をつければよいか分からないときは、地域包括支援センターや自治体の窓口が出発点になります。要介護認定や費用面の相談ともあわせて整理できます。

なお、本記事の制度に関する内容は変わることがあります。最新の正確な情報は、各施設・自治体・専門家に必ず確認してください。施設ごとの入居条件全体は老人ホームの入居条件、契約前の確認は契約前に確認することもあわせてご覧ください。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

身元保証人等がいないことだけを理由に入院・入所を断るのは適切でない、という公的な見解が示されています。厚生労働省は、医療機関について平成30年4月27日の通知で、身元保証人等がいないことのみを理由とした入院拒否は医師法第19条第1項に違反するとの考え方を示し、介護保険施設についても同年8月30日の通知で、いないことのみを理由とするサービス提供拒否は正当な理由に該当しないと整理しています。ただし「必ず入居できる」という意味ではなく、要介護度や空き状況など別の事情で入居できない場合はあります。実際の取扱いは施設や自治体に確認してください。

A.

公的資料では、判断能力が十分でない方の契約・財産管理を支援する成年後見制度、社会福祉協議会による日常生活自立支援事業、身元保証等・日常生活支援・死後事務などを有償で担う高齢者等終身サポート事業者などが選択肢として挙げられています。どれが本人の状況に合うかは異なるため、まずはお住まいの地域包括支援センターや自治体の窓口に相談するのが確実です。成年後見制度など法的な権限の線引きにかかわる点は、専門家への確認をおすすめします。

A.

利用が良くないということではありませんが、消費者保護の観点から注意喚起が出ています。国民生活センターは2019年5月、契約内容を十分理解できないまま高額な契約をしてしまった、解約時の返金に納得できないといった相談があるとして注意を呼びかけており、消費者庁も「高齢者等終身サポート事業」の利用に関する注意点を公表しています。契約の範囲(身元引受だけか、金銭管理や死後事務まで含むか)・費用・解約条件を契約前によく確認し、不安があれば消費生活センター(消費者ホットライン188)や専門家に相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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