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入居一時金とは|家賃の前払いの仕組みと返還・保全をやさしく解説

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

入居一時金(法令上は「前払金」)は家賃の前払いで、敷金とは別物です。償却で少しずつ家賃に充てられ、退去時は未償却分が返還されます。保全措置や0円プランの考え方、重要事項説明書で確認すべき点まで、施設探しの視点で整理します。最新の金額・条件は施設と自治体に要確認です。

01入居一時金(前払金)とは|「家賃の前払い」という考え方

入居一時金とは、有料老人ホームなどに入るときに、これから先に支払う家賃相当額の全部または一部をまとめて前払いするお金のことです。法令(老人福祉法)上の正式な呼び方は「前払金」で、施設によっては入居金・一時金など名称がさまざまです。

大切なのは、これが「家賃の前払い」であって、退去時に原則戻ってくる敷金とは別物だという点です。敷金は退去時の原状回復などにあてる預け金的なお金ですが、入居一時金は入居後に毎月の家賃として少しずつ充てられていく(これを「償却(しょうきゃく)」=前払いした分を期間に応じて使っていくこと、と呼びます)性質を持ちます。

また、すべての施設に入居一時金があるわけではありません。特別養護老人ホーム(特養)のように入居一時金がないタイプもあり、有料老人ホームの中にも一時金0円のプランを用意している施設があります。

施設探しでは、まず「その施設に入居一時金があるか」「ある場合、いくらで、何の費用にあたるのか(家賃の前払いなのか、別の名目か)」を、施設のパンフレットではなく重要事項説明書・契約書・最新の料金表で確認しましょう。入居にかかる費用の相場も踏まえて全体像をつかんでおくと、一時金の水準が見えやすくなります。金額や名目は施設ごとに異なるため、ここでの相場の断定は避け、必ず最新情報を施設へ確認することをおすすめします。

02償却と返還金の仕組み|未償却分は戻ってくる

入居一時金は、入居後に「償却」という形で少しずつ家賃に充てられていきます。一般に、入居時にまとまった割合を最初に充てる「初期償却(しょきしょうきゃく)」と、残りを一定の期間で割って毎月充てていく「期間(均等)償却」に分けて説明されることが多いです。償却が進んだ分は戻りませんが、途中で退去・死亡した場合、まだ償却されていない部分(未償却分)が返還金として戻る、というのが基本的な考え方です。退去後に実際どれくらい戻るのかは返還金の仕組みと確認ポイントで詳しく整理しています。

ここで注意したいのは、初期償却の割合(あるかどうか・何%か)、償却にかける期間(施設が想定する居住期間=想定居住期間)、返還金の計算式は、施設ごとに大きく異なるという点です。償却期間は想定居住期間を踏まえて施設が個別に設定するものとされ、一律の数字はありません。インターネット上で見かける「初期償却◯%」「想定居住期間◯年」といった数字は、あくまで一例であって、あなたが検討している施設に当てはまるとは限りません。

施設探しでは、重要事項説明書や契約書で次の4点を必ず確認しましょう。(1)初期償却の有無と割合、(2)償却にかける期間、(3)返還金の具体的な計算式、(4)「○年住んだらいくら戻るのか」という具体例。可能なら、想定より早く退去した場合・長く住んだ場合の両方で、戻る金額のイメージを施設に質問しておくと安心です。数字は施設ごとに違うため、最新の契約書類で確認することが欠かせません。

入居一時金(前払金)が初期償却分・毎月の償却分(いずれも戻らない)と未償却分(退去・死亡時に返還金として戻る)に分かれる構造と、入居から3か月以内に契約終了した場合は日割りの家賃などを差し引いた額が返還される短期解約特例を表した区分図

03退去・死亡で戻る? 入居後3か月(概ね90日)の短期解約特例

「入居してすぐ合わなかった」「短期間で体調が変わり退去・死亡となった」というとき、入居一時金が戻るのかは家族にとって切実な問題です。

この点について、入居後の早い時期に契約が終了した場合の返還ルールがあります。老人福祉法とその施行規則に基づき、有料老人ホームには、入居した日から3か月が経過するまでの間に契約解除や入居者の死亡で契約が終了したときに、前払金から所定の額を差し引いた額を返還する旨を契約で定める義務があります。「概ね90日ルール」と呼ばれることもあります。差し引かれる額は、家賃などの月額を30で割った額に、実際に入居していた日数を掛ける方法(日割り計算)によることが施行規則で定められています。つまり「3か月以内なら一円残らず全額」とは限らず、実際に住んだ日数分の家賃などは差し引かれます。

また、この返還ルールが実際の契約書でどう定められているか(対象となる費用の内訳や返還の手続き)は施設ごとに書きぶりが異なります。施設探しでは、契約前に「短期で退去・死亡した場合、いつまでに・いくら戻るのか」「差し引かれるのは何の費用か」を重要事項説明書と契約書で確認し、口頭の説明と書面が一致しているかをチェックしましょう。期間や金額の最終的な扱いは契約書次第のため、必ず書面で要確認です。

04施設が倒産したら? 入居一時金を守る「保全措置」

高額になりやすい入居一時金で家族が不安に感じるのが、「施設の経営が傾いたら、前払いしたお金はどうなるのか」という点です。

この不安に対しては、前払金を保全する仕組みが法令で定められています。有料老人ホームの設置者は、前払金の返還債務を負うことになる場合に備えて、保全措置を講じることが義務づけられています。保全の対象となるのは、名称を問わず家賃・施設利用料・サービスの対価として前払いで受け取る費用とされ、銀行等による連帯保証や保証保険、信託など複数の方法のいずれかで備えられます。なお敷金については、家賃の6か月分に相当する額を上限として、保全措置の対象となる前払金から除くことが施行規則で定められています。敷金の扱いの詳細は、施設・自治体にも確認してください。

ここで知っておきたいのは、保全される金額は「返還することになる債務の残額か、500万円か、いずれか低い方」という考え方が目安とされる点で、前払いした全額が常に丸ごと守られるとは限らない、ということです。高額な一時金の場合、その全額が保全されているとは限りません。

施設探しでは、重要事項説明書で「保全措置を講じているか」「保全の方法(銀行保証・保証保険・信託など)」「保全の対象・金額」を確認しましょう。あわせて、運営法人の経営状況や情報公開の姿勢も判断材料になります。制度や金額の細かい扱いは施設・自治体で異なる場合があるため、最新の内容は施設と自治体に要確認です。

05入居一時金0円(月払い方式)という選択肢

入居一時金は必ず支払うものではなく、支払い方式を選べる施設もあります。一般に、(1)家賃相当分をまとめて前払いする「全額前払い方式」、(2)一部だけ前払いする「一部前払い方式」、(3)前払いをせず毎月家賃として払う「月払い方式(入居一時金0円)」があり、施設が複数用意している場合は入居者が選べます。

それぞれに向き不向きがあります。月払い方式は入居時のまとまった出費を抑えられるため、たとえば「特養の空きを待つ間だけ」といった短期利用や、初期費用を抑えたい場合に向きます。一方で、長く住むほど毎月の負担が積み上がり、総額では前払い方式より高くなる場合があります。前払い方式は初期費用がかかりますが、長期に住む見通しなら月々の負担を抑えやすい、という考え方です。どちらが得かは想定する居住期間や手元資金によって変わり、一概には言えません。

施設探しでは、同じ部屋で「前払いにした場合」「月払い(0円)にした場合」の両方の見積もりを出してもらい、想定する入居期間(たとえば3年・5年など複数パターン)で総額を比較しましょう。月払い方式でも、別途の毎月の費用に含まれるものや、退去時にかかる費用がある場合があります。試算の前提や最新の料金は施設ごとに異なるため、料金表と重要事項説明書で要確認です。

06施設探しで確認したいチェックポイント

入居一時金は金額が大きく、契約後に「思っていたのと違った」となりやすい費用です。パンフレットの数字だけで判断せず、契約前に重要事項説明書・契約書・最新の料金表で次の点を確認しましょう。

  • そもそも入居一時金があるか(0円プランや、特養など一時金がない選択肢も含めて比較する)
  • 入居一時金は何の費用か(家賃の前払いか、別名目か)。敷金とは別に必要かどうか
  • 償却の条件:初期償却の有無・割合、償却にかける期間、返還金の計算式
  • 退去・死亡時の返還:未償却分はどう戻るか。入居後3か月(概ね90日)以内の短期解約のときの扱い、差し引かれる費用は何か
  • 保全措置:講じているか、方法(銀行保証・保証保険・信託など)、対象と金額
  • 支払い方式の比較:前払い/一部前払い/月払いで、想定居住期間ごとの総額

これらは施設ごとに条件が大きく異なります。気になる施設が複数あれば、同じ質問項目で比較表を作ると違いが見えやすくなります。一時金や月額費用の負担そのものを軽くしたい場合は、公的な軽減制度や施設選びで費用を抑える方法もあわせて確認してみてください。判断に迷うときは、担当のケアマネジャーや、お住まいの地域包括支援センター、各自治体の窓口にも相談してください。制度や金額の最新情報は、必ず施設と自治体に確認することが大切です。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

入居一時金は家賃の前払いで、入居後に「償却」という形で少しずつ家賃に充てられます。途中で退去・死亡した場合は、まだ充てられていない未償却分が返還金として戻るのが基本です。さらに、入居した日から3か月が経過するまでの間に契約が終了した場合は、実際に住んだ日数分の家賃など(月額÷30×日数の日割り計算)を差し引いた額を返還する短期解約のルールが、老人福祉法とその施行規則で定められています。「3か月(概ね90日)以内なら全額」とは限りません。返還金の計算式や対象期間は施設ごとに異なるため、重要事項説明書・契約書で要確認です。

A.

あります。特別養護老人ホーム(特養)のように入居一時金がないタイプのほか、有料老人ホームでも一時金0円の「月払い方式」を用意している施設があります。月払い方式は入居時のまとまった出費を抑えられ、短期利用に向く一方、長く住むほど総額が前払い方式より高くなる場合があります。どちらが向くかは想定する居住期間や手元資金によります。同じ部屋で前払いと月払いの両方の見積もりをもらい、複数の入居期間で総額を比較するとよいでしょう。最新の料金は施設の料金表・重要事項説明書で要確認です。

A.

有料老人ホームには、前払金を返還することになる場合に備えて保全措置を講じる義務があります。保全される金額は、返還することになる債務の残額か500万円か、いずれか低い方が目安とされ、銀行等の保証や保証保険、信託などの方法で備えられます。つまり全額が常に丸ごと守られるとは限らない点に注意が必要です。施設探しでは、重要事項説明書で保全措置の有無・方法・対象金額を確認しましょう。制度や金額の細かい扱いは施設・自治体で異なる場合があるため、最新情報は施設と自治体に要確認です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • 老人福祉法(前払金・保全措置・返還に関する規定)

    前払金の算定基礎の書面明示・保全措置(第29条第9項)、入居後一定期間内の契約解除・死亡時の返還契約義務(同条第10項)。項番号は改正で変動するため本文には記載しない。2026-07-08 e-Gov現行条文で確認済み。

  • 老人福祉法施行規則(前払金の範囲・敷金の扱い・短期解約特例)

    第20条の9(保全対象となる前払金の範囲。敷金は家賃の6月分相当額を上限に対象外)、第21条(短期解約特例の期間=3月、控除額=家賃等の月額÷30×入居日数)。2026-07-08 e-Gov現行条文で確認済み。

  • 内閣府 消費者委員会 資料『有料老人ホームの一時金の保全について』

    老人福祉法・施行規則・厚生労働省告示(平成18年告示第266号)の抜粋。保全措置の範囲(500万円か返還債務残高の低い方)、保全対象となる前払金の定義、短期解約特例の根拠を解説。

  • 厚生労働省 介護保険制度の概要

    介護保険制度の全体像。費用負担の前提となる制度の最新情報の確認に。

  • 介護サービス情報公表システム

    全国の介護施設の情報を検索・確認できる公的システム。施設の運営主体などの確認に。

  • 各施設の重要事項説明書・契約書・最新の料金表

    入居一時金の有無・金額・名目、初期償却の割合、償却期間、返還金の計算式、保全措置の有無と方法は施設ごとに異なる。契約前に必ず書面で確認する。

  • お住まいの自治体・地域包括支援センターの窓口

    制度の細かい運用や費用負担の最新情報、施設選びの相談先。最新情報は自治体に要確認。

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