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個室と多床室の違い|費用・暮らし・選び方を家族の目線で整理を表すイラスト生活

個室と多床室の違い|費用・暮らし・選び方を家族の目線で整理

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年6月21日

老人ホームの「個室」と「多床室」は、プライバシー・生活感・費用が異なる傾向があります。居室タイプの4分類、居住費の基準費用額、医療対応の考え方を整理し、見学・契約前に確認したい点までやさしく解説します(費用・制度は施設・自治体の最新情報で要確認)。

01まず「居室タイプ」は大きく4つ。言葉を整理しましょう

施設のパンフレットを開くと、居室の種類がいくつも並んでいて戸惑う方が多いと思います。介護保険施設(特別養護老人ホームなど)の居室は、大きく次の4つに整理されています。

  • 多床室(たしょうしつ):1部屋を複数人で使う相部屋。カーテンや家具で仕切るタイプが一般的です。
  • 従来型個室:1人で使う個室。フロアの廊下沿いに居室が並ぶ昔ながらの配置です。
  • ユニット型個室:おおむね10人以下(15人を超えない)を1つの「ユニット」とし、共有のリビングを囲むように個室を配置するタイプ。各居室は個室です。
  • ユニット型個室的多床室:ユニットの中にある相部屋。間仕切りなどで一定のプライバシーに配慮した造りです。

つまり「個室か多床室か」だけでなく、「従来型か、ユニット型か」という軸も重なります。見学予約や資料請求のときは、まず『この施設の居室タイプはどれか』を最初に確認すると、後の費用やプライバシーの話がスムーズになります。同じ『個室』でも従来型とユニット型では暮らし方が変わるため、名称をそのまま受け取らず、施設に間取り図を見せてもらうのがおすすめです。なお、施設の種類(特養・老健・有料老人ホーム・サ高住など)によって居室の前提が異なる場合があるため、施設の種類ごとの特徴や選び方もあわせて確認しましょう。

02暮らしはどう違う?プライバシーと「生活感」で比べる

個室と多床室の一番の違いは、やはりプライバシーです。

個室は、自分の時間や生活のリズムを保ちやすく、家具や写真、使い慣れた小物を持ち込んで「自分の部屋」に近い環境をつくりやすいのが特長です。面会も周りを気にせず過ごせます。一方で、人との関わりが少なくなり、孤立しやすいと感じる方もいます。

多床室は、同室の方との自然な会話が生まれやすく、賑やかさを好む方には居心地が良い場合があります。職員の目も届きやすいと感じる方もいます。反面、生活音やテレビの音、面会時間帯の重なりなど、相手との折り合いが必要になる場面もあります。

どちらが良いかは本人の性格や希望次第で、一律の正解はありません。確認したいのは「持ち込みできる物の範囲」「収納の広さ」「仕切りの形状(カーテンか、間仕切り壁か)」「同室者が変わったときの対応」です。これらは施設ごとに運用が異なるため、見学時に実際の居室を見せてもらい、ベッドからの眺めやコンセントの位置まで具体的に確認しましょう。本人が一日の大半を過ごす場所だからこそ、写真やパンフレットだけで決めず、できれば本人と一緒に空気感を確かめることをおすすめします。なお、希望する居室タイプに空きがあるかどうかは施設タイプによって聞き方が変わるため、見学や問い合わせの際は空室確認で聞いておきたいこともあわせて確認しておくと、居室タイプの希望とすり合わせやすくなります。

03費用はどれくらい変わる?居住費は居室タイプで差が出やすい

費用は、居室タイプによって差が出やすい項目です。国が定める「居住費の基準費用額(1日あたり)」は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)等で次のように設定されています(介護サービス情報公表システム/2024年8月時点の金額)。

  • 多床室:915円
  • 従来型個室:1,231円
  • ユニット型個室的多床室:1,728円
  • ユニット型個室:2,066円

介護老人保健施設・介護医療院では金額の前提が一部異なり、従来型個室は1,728円、多床室は697円(室料を徴収する場合)または437円(徴収しない場合)などとなっています。食費の基準費用額は全施設共通で1日あたり1,445円です。

ただし、ここで示したのはあくまで国が定める「基準費用額」であり、実際の請求額は施設ごとに異なります。月々の支払いは、必ず各施設の重要事項説明書・料金表で最新の金額を確認してください。 介護サービス費の自己負担、おむつ代や日用品費なども別にかかるため、月額費用に含まれるものと内訳もあわせて確認しておくと安心です。費用の総額は『居室タイプの差+施設ごとの設定+日常生活費』の合計で見る、という視点が大切です。基準費用額をはじめ制度・金額は改定されることがあるため、最新情報は自治体・施設への確認を前提に検討しましょう。

04所得が低いと軽減される?補足給付と、多床室の室料負担の動き

「個室は費用が心配」という方に知っておいてほしいのが、補足給付(特定入所者介護サービス費)という仕組みです。所得や資産が一定以下の方は、居住費・食費が負担限度額を超えた分について介護保険から補助を受けられ、所得段階に応じて自己負担が軽くなる場合があります(介護サービス情報公表システム)。利用には市区町村への申請(負担限度額認定)が必要なので、対象になりそうな場合はお住まいの自治体に早めに相談してください。

また、多床室の費用負担にも見直しがありました。厚生労働省の資料(社会保障審議会・介護給付費分科会/令和5年12月27日報告)によると、令和7年(2025年)8月から、II型の介護医療院、および「その他型」「療養型」の介護老人保健施設の多床室(1人あたり床面積8㎡以上)について、月額8千円相当の室料負担が導入されました。ただし利用者負担第1〜3段階の方は、補足給付により負担が増えないよう配慮されています。

こうした制度は改定が続く分野です。「多床室だから将来も安い」と決めつけず、対象施設かどうか・自分の所得段階での実際の負担額を、申込み前に施設と自治体の両方に確認することをおすすめします。

05広さ・設備の基準は施設の種類で前提が違う

居室の広さは法令で目安が定められていますが、施設の種類によって前提が異なる点に注意が必要です。ここでは代表例を挙げます。

特別養護老人ホーム(従来型)では、入所者1人あたりの床面積は10.65㎡以上、居室の定員は原則1人(サービス提供上必要と認められる場合は2人まで)と定められています(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準=平成11年厚生省令第46号 第11条)。ユニット型でも1居室10.65㎡以上、2人室の場合は21.3㎡以上、ユニットの入居定員は原則おおむね10人以下・15人を超えないとされています(同令 第35条)。なお、昔ながらの4人部屋などの多床室は、過去の基準のもとで設けられた既存施設という前提があり、必ずしも現行の数値と同じとは限りません。

一方、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は高齢者住まい法に基づく登録制度で、根拠となる基準が異なります。各専用部分は原則25㎡以上(共用の居間・食堂等が十分に確保される場合は18㎡以上)、台所・水洗便所・洗面・収納・浴室を備えること(一部は共用設備で代替可)、バリアフリー構造であることなどが登録基準とされています(介護サービス情報公表システム)。

つまり同じ「個室」でも、施設種別が違えば広さや設備の前提がまるで違います。見学時には『この居室は何㎡か』『収納や洗面はどうなっているか』を具体的に質問し、図面の数字と実際の使い勝手の両方を確かめましょう。有料老人ホームなどの面積基準は自治体の指導指針等で異なる場合があるため、気になる場合は施設・自治体に直接確認してください。

06医療・看取りの対応は「居室タイプ」では決まらない

ここはとても大切な点です。「個室なら胃ろうや喀痰吸引などの医療的ケアにも必ず対応してもらえる」とは限りません。 医療的ケアへの対応可否は、居室が個室か多床室かではなく、その施設の看護体制・人員体制・夜間の対応などによって変わります。

たとえば喀痰吸引(たんの吸引)や経管栄養(胃ろうなど)は、所定の研修を修了した職員や、看護職員の配置・連携があってはじめて対応できるケアです。施設や時間帯によって受け入れ可否が変わることもあります。看取り(人生の最期を施設で迎えること)への対応も、施設の方針や協力医療機関との関係によってさまざまです。

確認したいのは、『看護職員が日中・夜間にどう配置されているか』『協力医療機関や訪問診療との連携はどうか』『現在必要な、あるいは将来必要になりそうな医療的ケアに対応できるか』です。これらは本人の状態が変わったときに「住み続けられるか」を左右します。居室タイプの希望とあわせて、医療面の体制を別の軸として必ず質問し、口頭だけでなく重要事項説明書などの書面でも確認しておくと安心です。胃ろうや喀痰吸引が必要な場合は、医療対応が必要な人の老人ホーム選び方も参考にしてください。判断に迷うときは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

国が定める居住費の基準費用額(1日あたり・2024年8月時点)は、介護老人福祉施設(特養)等で多床室915円、従来型個室1,231円、ユニット型個室的多床室1,728円、ユニット型個室2,066円と、居室タイプで差が出やすくなっています。ただしこれは基準額で、実際の請求額や介護サービス費・日用品費を含めた総額は施設ごとに異なります。金額は改定されることもあるため、必ず各施設の重要事項説明書・料金表で最新の金額をご確認ください。

A.

所得や資産が一定以下の方には、居住費・食費の負担を軽くする「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という仕組みがあります。所得段階に応じて自己負担が軽減される場合があります。利用には市区町村への申請(負担限度額認定)が必要です。対象になりそうかどうか、自己負担額がいくらになるかは、お住まいの自治体に早めにご相談ください。

A.

厚生労働省の資料(社会保障審議会・介護給付費分科会)によると、令和7年(2025年)8月から、II型の介護医療院と「その他型」「療養型」の介護老人保健施設の多床室(1人あたり8㎡以上)について、月額8千円相当の室料負担が導入されました。利用者負担第1〜3段階の方は補足給付により負担が増えないよう配慮されています。対象施設かどうかや実際の負担額は、施設と自治体にご確認ください。

A.

いいえ、居室が個室か多床室かで医療的ケアの可否は決まりません。喀痰吸引や経管栄養(胃ろう)などへの対応は、施設の看護体制・人員体制や、研修を修了した職員の有無、夜間の対応などによって変わります。現在および将来必要になりそうなケアに対応できるか、看護職員の配置や協力医療機関との連携を、書面も含めて施設に直接ご確認ください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

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