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在宅酸素対応の老人ホームの探し方|HOTの仕組みと確認ポイントを表すイラスト医療・看護

在宅酸素対応の老人ホームの探し方|HOTの仕組みと確認ポイント

作成日
2026年6月21日
最終更新日
2026年7月8日

在宅酸素療法(HOT)を使っていても入れる施設はありますが「施設なら必ず対応可」ではありません。HOTは医師が管理する医療で、受け入れ可否は看護・協力医療機関の体制次第。施設見学で何を確認するかを家族向けにやさしく整理します。

01在宅酸素療法(HOT)とは――医師が管理する「医療」です

在宅酸素療法(HOT=ホット)は、呼吸の働きが低下して体に酸素を十分取り込めない方が、ご自宅や施設で酸素を吸入しながら暮らすための治療です。鼻に細いチューブ(カニューレ)をつけ、酸素濃縮装置や酸素ボンベから酸素を補います。

ここでまず押さえておきたいのは、HOTは健康保険(診療報酬)の枠組みのなかで医師が管理する『医療』だということです。厚生労働省の診療報酬の通知(在宅酸素療法指導管理料・C103関係)では、対象として「高度慢性呼吸不全例」や「チアノーゼ型先天性心疾患患者」が挙げられています。高度慢性呼吸不全例については、動脈血酸素分圧(血液中の酸素の指標)が「55mmHg以下の者、および60mmHg以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者」で、医師がHOTを必要と認めたものとされています(mmHgはTorrと同じ単位です)。

こうした要件や数値は診療報酬改定で見直されることがあるため、ご本人にあてはまる細かな条件は主治医・医療機関にご確認ください。いずれにせよ、酸素の流量(1分間にどれだけ流すか)や吸入時間などの指示は、すべて主治医が決めます。施設側が自己判断で酸素の量を変えることはできません。

ですから施設探しの第一歩は、施設の種類を調べることより先に、主治医に「いまの酸素の指示内容(流量・吸入時間・外出時の扱いなど)」と「今後どんな変化が想定されるか」を確認し、メモにまとめることです。このメモが、どの施設に問い合わせても通じる『共通言語』になります。

02「在宅酸素だから入れない」とは限らない――受け入れは体制次第

ご家族がHOTを使っている状態で施設を探していると、「断られるのでは」と不安になりがちです。実際には、在宅酸素を使う方を受け入れている老人ホーム・介護施設はあります。ただし大切なのは、「老人ホームなら必ず在宅酸素に対応できる」わけではないという点です。

在宅酸素のある暮らしでは、酸素濃縮装置の管理、決められた流量で酸素が流れているかの見守り、体調が変わったときの観察と医師への連絡など、医療的な見守りが伴います。これを誰が・どの時間帯まで担えるかは、施設ごとに大きく異なります。同じ「介護付き有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」という種別でも、看護体制や協力医療機関との連携の深さは施設次第です。

また、酸素は燃焼を助ける性質があるため、火気(たばこ・仏壇のろうそく・ガスコンロなど)の取り扱いには注意が必要とされます。装置の管理だけでなく、こうした安全面のルールをどう運用しているかも施設によって違います。

ですから施設探しでは、「在宅酸素対応可」というひとことで判断せず、どんな体制で対応しているのかを一つひとつ確認していくことが、入居後のミスマッチを防ぐ近道です。空室状況や個別の受け入れ可否、費用は施設・自治体への確認が必要なため、この記事では「確認の仕方」に絞ってお伝えします。

03施設の種類ごとに、看護・医療体制の『前提』が違う

老人ホーム・介護施設は種類によって、看護や医療連携の体制の『前提』が異なります。在宅酸素を考えるうえで、まず大枠を押さえておきましょう。

  • 介護付き有料老人ホーム(特定施設):「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設で、看護職員(看護師または准看護師)が配置されています。施設によっては在宅酸素を含む医療的な見守りに対応できる場合がありますが、対応範囲や配置時間は施設ごとに異なります。
  • 住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):施設職員が一律に介護・看護を提供するのではなく、必要に応じて外部の訪問看護・訪問介護などと契約して利用する形が基本です。看護体制は施設ごとに大きく異なります。
  • 特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健):医師・看護職員の配置の考え方が種別で異なります。一般に老健は医師・看護職員の関わりが手厚い類型とされ、特養では医師が非常勤というケースもありますが、実際の体制は施設により異なります。

ただし、これらはあくまで人員に関する『前提』です。HOTは医師の指示にもとづく医療管理が必要なため、実際に受け入れられるかは、施設の看護職員がいる時間帯緊急時に連携する協力医療機関しだいで決まります。人員基準や類型の取り扱いは制度改定で変わることもあるため、最新の扱いは施設・自治体にご確認ください。種類で当たりをつけたうえで、必ず個別に確認しましょう。胃ろうやたんの吸引など、在宅酸素以外の医療的ケアも含めた選び方の全体像は、医療対応が必要な人の老人ホーム選びでも整理しています。

04施設見学・問い合わせで確認したい7つのこと

在宅酸素のある方の施設探しでは、次の点を具体的に確認すると、施設ごとの違いが見えてきます。口頭の説明だけでなく、できれば書面(重要事項説明書など)で残してもらうと安心です。

  1. 看護職員の配置時間:日中だけか、何時から何時までいるか。酸素の見守りや体調変化への対応に関わります。24時間配置かオンコールかによって体制は大きく異なるため、看護師がいる老人ホームの選び方で確認の観点を詳しく整理しています。
  2. 夜間の体制:夜間に看護職員が常駐か、施設外で待機して必要時に対応する「オンコール」か。不在時に容体が変わったらどう動くか。夜間の急変対応そのものを深掘りしたい方は、夜間の医療対応を確認する方法もあわせてご覧ください。
  3. 協力医療機関との連携:往診や緊急時の搬送をどの医療機関と連携しているか。主治医を継続できるか、変更が必要か。
  4. 酸素濃縮装置の管理:装置の置き場所、電源確保、機器業者との連絡体制、停電時の備え(予備ボンベなど)。
  5. 緊急時の連絡フロー:酸素トラブルや急変時に、誰が判断し、家族にどう連絡が来るか。
  6. たんの吸引等の対応可否:呼吸器の状態によってはたんの吸引が必要になることも。研修を修了した職員がいるか(後述)。
  7. 火気・酸素ボンベの安全管理:施設内の火気のルール、ボンベの保管・持ち運びの取り扱い。

これらは施設によって異なるため、見学の際に一つずつ質問しましょう。ご本人の状態にどの体制が合うかは、主治医にも相談してください。

在宅酸素(HOT)の施設探しを、主治医に酸素の指示内容を確認してメモにする、施設の種類で当たりをつける、施設に7つのチェック項目(看護配置時間・夜間体制・協力医療機関・装置管理と停電時の備え・緊急連絡フロー・たん吸引対応・火気とボンベの安全管理)を個別確認する、という3ステップで整理したフロー図

05たんの吸引が必要になったら――誰が対応できるのか

在宅酸素を使う方では、呼吸器の状態によって、たんの吸引(のどや気管にたまった痰を吸い出すケア)が必要になることがあります。これは医療的ケアにあたるため、誰が対応できるかを知っておくと、施設選びの目が深まります。

施設でたんの吸引を担えるのは、まず看護職員です。これに加えて、一定の条件を満たした介護職員等も対応できる場合があります。背景にあるのが、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により2012年(平成24年)4月から始まった「喀痰吸引等」の制度です。この制度のもとで、研修を修了した介護職員等は、たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)を、決められた条件のもとで実施できます。

ただし「介護職員ができる」には要件があります。研修を修了した職員が「認定特定行為業務従事者」として都道府県の認定を受け、その所属事業所が「登録特定行為事業者」として登録している必要があります。つまり「施設なら必ずたんの吸引に対応できる」わけではなく、研修修了者の有無と事業所登録の有無に左右されます。

なお、酸素の流量を変える・たんの吸引の必要性を判断するといった医学的な判断は医師・看護職員の領域です。施設見学では、たんの吸引が必要になった場合に「誰が・どの時間帯に対応するのか」まで確認しておきましょう。たん吸引への対応可否そのものを軸に施設を探したい場合は、たん吸引対応できる老人ホームの探し方も参考にしてください。

06費用と公的制度の調べ方・自分で施設を調べるツール

在宅酸素そのものの費用(指導管理料や機器の使用料など)は健康保険の医療として扱われ、施設の介護・居住費とは別に発生します。具体的な金額は、加入している健康保険や自己負担割合、施設の種類によって変わります。

費用相場をここで断定することはできません。 施設の月額費用や受け入れ条件は、必ずその施設の最新の料金表・重要事項説明書(入居前に施設が説明する、サービス内容や費用・体制をまとめた書類)で確認してください。医療側の費用は主治医や医療機関に、介護保険の自己負担や軽減制度はお住まいの自治体の介護保険窓口・地域包括支援センターに確認するのが確実です。最新の制度・金額は変わることがあるため、その都度確認が必要です。

ご自分で施設を調べる公的な手段としては、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」(kaigokensaku.mhlw.go.jp)が使えます。全国の介護事業所やサービス付き高齢者向け住宅などを、都道府県別に検索でき、施設の基本情報やサービス内容を比較できます。ただし、在宅酸素やたんの吸引への対応可否といった細かな点は公表項目だけでは判断しきれないため、気になる施設をリストアップしたうえで、最終的には施設へ直接問い合わせて確認しましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

A.

在宅酸素を使う方を受け入れている施設はあります。ただし「老人ホームなら必ず対応できる」わけではなく、看護職員がいる時間帯や協力医療機関との連携など、対応できる体制は施設ごとに異なります。HOTは医師が酸素の流量や吸入時間を管理する医療です。現在の酸素の指示内容を主治医に確認し、その内容を伝えたうえで、受け入れ可能か・どんな体制で対応するのかを施設に直接確認することが大切です。

A.

看護職員の配置時間、夜間が常駐かオンコールか、協力医療機関との連携と主治医を継続できるか、酸素濃縮装置の管理や停電時の備え、緊急時の連絡フロー、たんの吸引等への対応可否、施設内の火気・酸素ボンベの安全管理の7点を具体的に確認しましょう。口頭の説明だけでなく、重要事項説明書などの書面で残してもらうと安心です。ご本人の状態にどの体制が合うかは主治医にも相談してください。

A.

酸素の流量変更やたんの吸引の必要性を判断するといった医学的な判断は、医師・看護職員が行います。たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養については、2012年(平成24年)4月から始まった喀痰吸引等の制度のもとで、研修を修了し都道府県の認定を受けた介護職員等が、所属事業所の登録など一定の条件下で実施できます(出典:厚生労働省)。誰が対応するかは施設によって異なるため、見学時に確認しましょう。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と施設の資料を確認しながら更新します。

  • 厚生労働省 診療報酬点数表 在宅酸素療法指導管理料(C103)

    HOTが医療(診療報酬)の枠組みであること、対象(高度慢性呼吸不全例・チアノーゼ型先天性心疾患患者)、動脈血酸素分圧55mmHg以下/60mmHg以下で睡眠時・運動負荷時に著しい低酸素血症という数値基準の出典。2026-07-08、令和8年度点数表の通知(C103)でも同基準・mmHg表記のままであることを確認済み。

  • 医科診療報酬点数表 C103 在宅酸素療法指導管理料(しろぼんねっと・令和8年度版)

    令和8年度改定後の現行の対象基準(在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下の者及び60mmHg以下で睡眠時又は運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって医師が必要と認めたもの)の確認用。2026-07-08 確認済み

  • 厚生労働省 喀痰吸引等制度について

    喀痰吸引等の制度開始(2012年・平成24年4月)、根拠法(社会福祉士及び介護福祉士法の改正)、実施できる行為範囲(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部/胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)、認定特定行為業務従事者・登録特定行為事業者という要件の出典。URLの有効性は確認済み。

  • 厚生労働省 介護サービス情報公表システム

    全国の介護事業所・サービス付き高齢者向け住宅等を都道府県別に検索できる公的システム。在宅酸素やたんの吸引への対応可否は公表項目次第のため、最終的には施設へ要確認。URLの有効性は確認済み。

  • 各施設の重要事項説明書・最新の料金表

    受け入れ条件、看護・医療連携の体制、月額費用などの確定情報。リンクできないため契約前に書面で直接確認する。

  • お住まいの自治体の介護保険窓口・地域包括支援センター/主治医・医療機関

    介護保険の自己負担・軽減制度の適用可否、HOTの医療費や指示内容の相談先。最新の制度・金額は変わることがあるため、その都度確認が必要。

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