特養(特別養護老人ホーム)の「月6日」は、外泊できる日数の上限ではありません。外泊中に介護保険の「外泊時費用」(1日246単位)を払う日数の上限です。出発日と戻る日は数えないので、7泊なら6日分になります。部屋を空けておく間の居住費や食費は、介護保険とは別に施設の料金表で決まります。
年末年始が近づくと、施設に入っている親を数日だけ実家に連れて帰りたい、と考えるご家族が増えます。そのとき気になるのが「何日まで外泊できるのか」「外泊中も施設のお金はかかるのか」です。ここでは厚生労働省の通知をもとに、特養を中心に、老健や介護付き有料老人ホームとの違い、出発前に施設へ確認しておきたいことを整理します。
この記事の答えを先にまとめると、次のとおりです。
- 特養の外泊時費用は1か月に6日まで。出発日と戻る日は数えないので、12月28日から1月4日までの7泊なら6日分になる
- 外泊中は、自宅で介護保険の訪問介護などを使うことは原則できない。特養には、施設が在宅サービスを提供する「外泊時在宅サービス利用費用」(1日560単位)という区分がある
- 介護付き有料老人ホームは、外泊中は施設の介護サービス費がかからない代わりに、家賃や管理費は契約どおりかかる。どこまで日割りになるかは重要事項説明書で確認する
特養の外泊は何日までできる?「月6日」の意味は?
月6日は、外泊時費用を算定できる日数の上限です。外泊できる日数そのものを一律に区切った決まりではありません。
特養の介護報酬には、入所者が入院したときや自宅などに外泊したときの区分として「外泊時費用」があります。厚生労働省の算定構造では、外泊を認めた場合に「1月に6日を限度として、所定単位数に代えて1日につき246単位」を算定するとされています。ふだんの施設サービス費の代わりに、この単位数で計算するという意味です。
日数の数え方は、厚生労働省の留意事項通知(老企第40号)に例があります。
- 外泊の初日と最終日は日数に含めない。連続して7泊すると6日と数える
- 出発日と戻る日は、ふだんどおりの施設サービス費がかかる
- 1回の外泊が月をまたぐ場合は、最大で連続13泊(12日分)まで外泊時費用を算定できる
- 「外泊」には、親戚の家での宿泊や、子どもや家族と旅行に行く場合の宿泊も含まれる
年末年始の外泊は月をまたぎやすいので、上の図のように12月分と1月分に分けて数えます。12月28日に出発して1月4日に戻る場合、外泊時費用は12月分が3日、1月分が3日です。1か月に6日を超えた日は、介護保険の施設サービス費が算定されません。
介護保険の「単位」は、1単位10円で計算すると、1割負担で1日246円です。施設のある地域によって1単位の単価が10円より高い場合があり、2割・3割負担の方はその割合で計算します。
外泊中も、施設の費用はかかる?
かかる費用とかからない費用があります。介護保険の部分は外泊時費用に切り替わり、居住費と食費は施設との契約で決まります。
特養に入所している方が外泊したときの費用を、性質ごとに分けると次のようになります。
| 費用の種類 | 外泊中の扱い | 確認先 |
|---|---|---|
| 介護保険の施設サービス費 | 月6日まで外泊時費用(1日246単位)。出発日と戻る日はふだんの費用 | 施設の料金表 |
| 居住費(部屋代) | 部屋を空けておく間の扱いは施設が定める | 重要事項説明書・料金表 |
| 食費 | 食事をとらなかった日の扱いは施設ごとに異なる | 重要事項説明書・料金表 |
| 外泊中の受診の費用 | 施設とは別に、受診した医療機関へ支払う | 医療機関の窓口 |
外泊時費用を算定している間、施設は原則としてその方のベッドを他のサービスに使わずに空けておきます。ただし、本人の同意があれば、空いたベッドをショートステイ(短期入所生活介護)に使うことができ、その場合は外泊時費用を算定しないと通知に書かれています。外泊を届け出るときに空いたベッドの扱いを確認しておくと、外泊時費用がかかるかどうかも分かります。
負担限度額認定(補足給付)を受けて居住費や食費が軽減されている場合は、外泊中の居住費に軽減がどこまで及ぶかもあわせて確認します。制度の仕組みは負担限度額認定とはで解説しています。
入院で施設を空ける場合も、特養では同じ「外泊時費用」の区分を使います。入院中の部屋の扱いや費用は入居中に入院したら老人ホームの費用と部屋はどうなる?で整理しています。
外泊中に、自宅で訪問介護などは使える?
特養に入所している方は、外泊中でも介護保険の訪問介護などを自宅で使うことは原則できません。特養が在宅サービスを提供する区分なら使えます。
老企第40号には、外泊の期間中は居宅介護サービス費は算定されないと書かれています。特養に入所している間は、外泊していても、ケアマネジャーが組む在宅のケアプランで訪問介護やデイサービスを使う扱いにはならないということです。
その代わり、特養には「外泊時在宅サービス利用費用」という区分があります。外泊を認めた入所者が、その特養が提供する在宅サービスを利用した場合、1か月に6日を限度として、1日につき560単位を算定します。実家で入浴や排せつの介助が必要なときに施設が対応できるかどうかは施設によって異なるので、外泊を相談するときに「外泊中に施設から在宅サービスを受けられるか」を聞いてみてください。
自宅の段差や寝る場所、トイレまでの動線は、ふだん施設で暮らしている方にとって負担になることがあります。外泊の前に、施設の職員にふだんの移動や排せつの様子を聞いておくと、家で必要な準備が分かります。
老健や介護付き有料老人ホームの外泊は、特養と何が違う?
施設の種類によって、外泊中に算定される介護保険の区分と、家賃などの扱いが変わります。
厚生労働省の算定構造と老企第40号をもとに、主な施設の違いをまとめると次のとおりです。
| 施設の種類 | 外泊中の介護保険の扱い | 家賃・居住費などの扱い |
|---|---|---|
| 特養 | 外泊時費用 1日246単位(月6日まで)。施設の在宅サービスを使う場合は1日560単位 | 施設の料金表で確認 |
| 老健(介護老人保健施設) | 外泊時費用 1日362単位(月6日まで)。施設が在宅サービスを提供する場合は1日800単位 | 施設の料金表で確認 |
| 介護医療院 | 外泊時費用 1日362単位(月6日まで) | 施設の料金表で確認 |
| 介護付き有料老人ホーム | 外泊中は施設の介護サービス費(特定施設入居者生活介護)を算定しない | 家賃・管理費は契約どおり。不在時の日割りの有無は重要事項説明書で確認 |
| 住宅型有料老人ホーム・サ高住 | 外部の訪問介護などの利用は、担当のケアマネジャーと調整 | 住まいの契約どおり |
介護付き有料老人ホームについて、老企第40号は「入居者の外泊の期間中は特定施設入居者生活介護は算定できない」としています。外泊中は施設の介護サービス費がかからない一方で、家賃や管理費は住まいの契約として続きます。有料老人ホームの重要事項説明書には、国が示した様式に「入院等による不在時における利用料金(月払い)の取扱い」という欄があるので、外泊もこの扱いに含まれるかを施設に聞いておきます。
グループホームの介護報酬には、入院したときの「入院時費用」はありますが、外泊時費用の区分はありません。外泊中の介護保険の請求、家賃・食費の扱いは施設に確認してください。
外泊を受け入れる条件や申請の手続きそのものは施設ごとのルールで決まります。入居前に確認しておきたい点は外出・外泊できる老人ホームにまとめています。
年末年始に外泊するとき、施設に何を確認する?
日程・薬・体調が悪くなったときの連絡先の3つを、出発の前に施設と決めておきます。
年末年始は休診する医療機関や薬局もあるので、次の順番で準備しておくと確認漏れが少なくなります。
- 外泊の届け出の締め切りを聞く:何日前までに届け出るかは施設ごとに決まっている。年末年始は希望が重なりやすいので、早めに日程を伝える
- 費用の扱いを確認する:外泊時費用の日数、居住費・食費が日割りになるかを料金表で確かめる
- 薬を受け取る:外泊する日数分の薬を、飲む時間ごとに分けてもらう。飲み忘れや飲み合わせが心配なときは、施設の看護職員に相談する
- 体調が悪くなったときの連絡先を決める:施設の夜間の連絡先、かかりつけ医、受診するときに持っていくもの(保険証や薬の情報)を確認する
- 戻る時間を伝える:戻った日の食事や入浴の予定に関わるので、到着の時間を施設と共有する
薬の管理を施設がどう行っているかは、入居前から確かめておける項目です。確認の観点は服薬管理を任せられる老人ホームの選び方で整理しています。冬は感染症が流行しやすい時期でもあるので、外泊から戻ったあとに施設が体調を確認する流れがあるかも聞いておきます。
この記事で持ち帰れること
- 特養の「月6日」は外泊時費用を払う日数の上限で、出発日と戻る日は数えないと分かった
- 特養に入所している方は、外泊中に介護保険の訪問介護などを自宅で使うことは原則できず、施設の在宅サービスを使う区分があると分かった
- 介護付き有料老人ホームは外泊中に施設の介護サービス費がかからないが、家賃や管理費の扱いは重要事項説明書で確認すると分かった
年末年始の外泊を考えているなら、まず施設の料金表で「外泊」の欄を確かめ、届け出の締め切りを施設に聞くところから始めてください。これから施設を探す段階なら、介護しせつさーちの検索で候補を絞り込み、見学のときに外泊のルールと費用の扱いを比べておくと、入居後に家族で過ごす予定を立てやすくなります。
参考にした一次情報(2026年10月13日確認)
- 厚生労働省 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月8日 老企第40号)(入所者が外泊したときの費用の算定、特定施設入居者生活介護の外泊中の扱い)
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第239回(2024年1月22日)参考資料2-1 介護給付費単位数等サービスコード表の算定構造(介護福祉施設サービスの外泊時費用・外泊時在宅サービス利用費用、介護保健施設サービス・介護医療院サービスの外泊時費用、認知症対応型共同生活介護の入院時費用)
- 厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」(重要事項説明書の様式を含む)
介護報酬の単位数は改定されることがあります。実際の金額は、入居中または検討中の施設の料金表で確認してください。
